富士の叫び 
 FLASH 
 特 集 
 視 点 
 くみあい百景 
 ワンポイント 
 編集室だより 



指導員の現場から
「個性ある」を求めて



 一月二十日、月曜日。大学入試センター共通一次試験が終わった翌日。
 朝のラジオ番組「高島ひでたけのお早よう!中年探偵団」の会話のやりとり。
○高島さん。日本の大学でマンガ学科があるのをご存知ですか。
☆マンガって、あのマンガ。
○そうです。平成十二年、京都精華大学の芸術学部に日本で初めてマンガ学科ができたんです。
☆マンガの描き方を教えてるの。
○デッサン、CGの実技は勿論、経済効果や社会的影響、歴史などトータルに勉強するそうです。
☆ へぇー、本格的だねぇ。
○大阪芸術大学もマンガの科目を開講しています。
 あの「子連れ狼」の原作者、小池一夫さんが教授をしていて、大学初のプロと学生の作品を載せた漫画誌も発行しています。
☆でもプロの漫画家になるって本当、難しいよね。
 ほんの一握りだよ。
○それはそうですが、来る学生は始めからマンガは上手に描けるそうです。
 小池さんはポイントはキャラクターの魅力だ、としてキャラクターの活かし方を教えています。
 それがマスターできれば漫画家でなくてもイラスト、映画、シナリオ、アニメ、ゲームソフト、広告代理店など、就職先は全く心配ないそうです。
☆うーん。時代ニーズにマッチしてるってことか。
 確かに日本のマンガは世界にも通用するからね。それにしても昔はマンガばかり読んでないで勉強しなさいって怒られたのにね。今や勉強の敵じゃないんだ。
○そうなんです。京都精華大学のマンガ学科は定員四十名に対して競争率は十四倍、全国的にも知られるようになり、少子化の中で個性ある大学として注目されています。
というものであった。
 学校経営も今や、大学の乱立と過剰定員で、経営難に直面するところが多い。
まさに企業が抱える悩みと共通のものがそこにある。
 日本のマンガはストーリーの面白さや絵の緻密さで海外でも翻訳して売られ、アニメの技術は世界一、キャラクターグッズも人気で世界で売られている。一大産業であり、マンガ大国だ。
 むしろ今まで文化、産業として取り上げている大学が無かったことが不思議なくらいだ。お隣りの韓国では二十を超える大学が取組んでいるといわれるのに。
 これも、マンガは教育の敵、水と油の関係、といわれてきた既成概念に捕われすぎていたからだろうか。
 県内ではイスラムや北朝鮮問題で静岡県立大の先生方が全国版のテレビに頻繁に登場する。開学以来、個性的な大学をめざしマイナーだったアジアに目をつけピンポイントで研究を続けたことが社会ニーズに見事にマッチした成果で、産業界でいうところの「すきま戦略」の勝利といわれる。
 既成概念の打破とすきま狙い…「言うは易し、行うは難し」である。しかし個性ある企業を求めての経営革新、生き残りのヒントがそこにはある。(わら)


中小企業静岡(2003年 3月号 No.592)