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起業・独立を後押し、企業組合制度も改善

中小企業挑戦支援法が
施行されました




 先月号でもお伝えしたように、中小企業挑戦支援法が先の第155回臨時国会で平成14年11月15日に成立。一部の規定を除き平成15年2月1日より施行されました。
 株式会社や有限会社の最低資本金規制を免除する商法の特例措置や企業組合制度の従事比率や組合員比率の緩和などが盛り込まれており、この制度を活用した新たな開業が期待されています。

1 中小企業挑戦支援法とは?

 中小企業挑戦支援法の正式名称は「中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律」。名称が示すように、小さなビジネスが新たな挑戦を始めやすいように、中小企業等協同組合法や新事業創出促進法など、関係する複数の法改正を行うのがこの法律です。
 具体的には、(1)株式会社や有限会社の最低資本金規制を、新たに設立する会社に関しては、五年間適用しないとすること (2)企業組合を起業の受皿として、より使いやすい法人にすること(3)起業を応援する側の投資事業有限責任組合の出資対象範囲を従来より拡大すること、などです。(詳細については後述)

2 目的(背景)

 経済産業省の資料によると、『法律改正の目的』として、
 『開業率(四%)が廃業率(六%)を下回るなど、未だ厳しい状況にある我が国経済の活力を呼び覚まし、グローバルな競争率を高めていくため、創業、新事業などの新たな事業活動に「挑戦」する中小企業等を積極支援する制度の拡充を図る。具体的には、組織面で中小企業者等の創業・新事業への「挑戦」を容易にする措置を講じるとともに、資金調達面においても、「挑戦」に必要な資金の供給源の拡大を促す措置を講じ、経済活性化と雇用拡大の原動力である元気な中小企業等の育成・発展を進める。』としています。
 現在の最低資本金規制が導入されてから既に十年以上が経過しますが、この間、起業に係る環境は大きく変わっています。経営資源のソフト化が進み、事業開始時点での必要資金が小さなケースが増えたこと。また、事業形態も多様化し、適正な資本規模が一律である必要がなくなってきています。
 このような実情に株式会社は一千万円以上、有限会社は三百万円を設立に際して一律に用意しなければならないといったルールが合わなくなっている面もあります。
 また、最低資本金の制約がない企業組合制度についても、法人等の経営資源の活用などその改善を望む声があがっていました。

3 法律の概要

1 株式会社、有限会社の最低資本金等の商法上の規制に関する特例(新事業創出促進法の一部改正)

● 商法の最低資本金規制に係る特例を設け、新たに創業する者について、株式会社の場合は一千万円、有限会社の場合は三百万円という最低資本金規制の適用を受けない会社設立を認めるとともに、設立後五年間は当該規制を適用しません。
● 払込取扱機関の保管証明を受ける義務等を免除するとともに、債権者保護等の観点から、開示義務、配当制限が課せられました。
● これらの措置により、会社設立時点での資本金の確保など資金集めが創業のハードルとなっている点を大幅に緩和。設立に係る手続きを簡素化し、サラリーマンや主婦などが無形財産やアイディアなどソフトな経営資源によって創業することを容易にします。
*特例措置を利用した際の設立手続きについては下記参照


中小企業静岡(2003年 3月号 No.592)