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「税 務」
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退職給与引当金制度廃止への対応
退職金共済などの有効活用を
早川國男税理士事務所
早 川 國 男
        浜松市篠ヶ瀬町629-1
TEL 053-422-3981
Fax 053-422-3959



 退職給与引当金が廃止との話を耳にしました。当組合でも退職金を引当てていますので、影響が懸念されます。
 その詳細と対応策についてお教え下さい。

 退職給与引当金制度は、昭和二七年の創設以来、一定金額までは損金で処理できるため、従業員の退職準備制度の中でも最も多くの企業あるいは協同組合等で活用されていると思われます。
 しかし、この退職給与引当金制度も平成十四年四月一日以降に開始する事業年度より廃止となりました。
 今回の廃止による一番の問題点は、ただ廃止というだけでなくこれまでの引当金の合計額を中小法人及び協同組合等においては十年間で取り崩す、いいかえれば、繰り戻すことにより税法上の益金として課税の対象となります。
 厳しい経営環境の中で、これからの企業の対応いかんによっては、大きな税負担になることも予想されます。
 退職給与引当金制度については分かりづらい点もありますので、以下、順をおって説明していきたいと思います。

1 「退職給与引当金」制度とは?

 企業が将来退職する従業員の退職金に充てるため、退職給与引当金に繰り入れた金額のうち、法人税法上の繰入限度額に達するまでの金額を損金に算入することができる制度です。

2 法人税法改正の要旨

 連結納税制度の創設を規定した改正税法では、この創設に伴う法人税の減収を補てんするため、連結納税制度の仕組みの中での措置と課税ベースの拡大が行われています。
 退職給与引当金制度の廃止は、受取配当の益金不算入制度の見直し及び旧特別修繕引当金制度の廃止とともに、課税ベース拡大のために規定されたものです。
 これにより、退職給与引当金制度を規定した法人税法第五四条は削除されましたが、これに伴う影響を緩和するため、表Iのとおり「改正時の退職給与引当金勘定の金額」を段階的に取り崩して益金の額に算入するという経過措置が設けられています。


中小企業静岡(2003年 3月号 No.592)