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特集 SPECIAL EDITION



主役の座はやはり共同受注

 組合の内容も、かつての業界代表組合、共同購入、金融事業などから主流は徐々に移行し、この十年間は昭和六三年の融合化法誕生以来の異業種による研究開発組合、建設業関連業種を中心とした共同受注事業などが進展。なかでも共同受注事業については、徐々に業種の広がりをみせ主流となり、最近は異業種構成による市場開拓型組合が急伸している。
 十一年度の設立の中心は基本的にはその延長線上のものとなった。設立三一組合中、半数の十六組合が共同受注及び斡旋を主要事業に掲げている。
 主に水処理にかかるノウハウを持つ機械設計〜経営コンサルタントなどの組合員五名でISO取得手続や環境保全に関するコンサルタント、設計・施行の受注を行う環境共生事業(協)、工場ラインの新設、変更を扱ってきた関連異業種七事業者が取引範囲拡大のため、組合で一括受注する(協)シー・アンド・キュー・スキルチームなど、得意分野を持ち寄り、より高度な、細かな要求に応えながら市場を開拓していく異業種型共同受注組合もすっかり定着した感がある。
 しかし、むしろ十一年度について共同受注や斡旋などを行う組合のなかで際立った点は、多くは同業種や関連業種ながら@官公需や県・国の大型プロジェクトを視野に入れ、事業を展開している組合が多いこと (2)二〇〜三〇年、なかには五〇年と任意としての活動が長かったグループがここに来て法人化に踏み切ったことである。
 どちらも決して目新しいことではない。毎年度、多くあるケースだが、その比率が例年に比べてさらに高いといえる。
 清水建具(協)と浜北建具(協)は、任意組織としての活動もそれぞれ三〇年余と長いが、法人化の直接のきっかけのひとつは、平成十年度に県の建具工事が分離発注化されたこと。再度、受注体制の整備を図り、官公需適格組合証明の取得を目指している。畳については以前に分離発注化が進められ、昭和五四年当時、多数の組合が誕生した。建具についても、まだ、いくつかの地域の任意組織が法人化を検討している。
 そのほか「しずおか国際園芸博覧会」や「富士山こどもの国」、第二東名の緑地などに係る造園関連業務、官公庁舎の営繕、道路標識設置工事などそれぞれの組合が官公需や大型プロジェクトなどを視野に入れながら受注体制を整えている。(以上、組合プロフィール十一ページ参照)



老舗組も法人化に踏み切る

 一方、任意組織としての活動実績をみると、清水建具(協)と浜北建具(協)のほかに、熱海温泉ホテル旅館(協)の五〇年をはじめ、静岡市料理飲食業(協)や寸又峡美女づくりの湯観光事業(協)も三〇年以上の長期にわたる。
 (協)焼津さかなセンターは昭和六〇年の同センター設置以来、魚類・関連商品の卸・小売を行ってきたメンバー。そのほか同じ焼津では、研究開発や共同購入事業を行なう(協)焼津シーフードは、若いメンバーも含むが、その母体は長い活動歴を誇る焼津水産加工業(協)のなまり節部会。「釜炒り茶」の販売に向けて企業組合として再出発した(企)天狗会は牧の原地区の自園自製茶農家が昭和四四年から茶の需要拡大に向けて活動をしてきたものである。
 こうした任意組織としての活動の長いグループがここにきて法人化に踏み切ったことは、長引く景気低迷のなかで、より積極的な展開を余儀なくされたことを意味する。老舗的な業界、伝統的商品(価値)を扱うものも、そのネームバリューや過去の実績だけでは生き残れない。かつて成功した手法・経験から脱却できない事業者・業界は構造変革のなかで、消滅しかねない時代を迎えている。取引先、行政等との対外折衝においても法人化による信用力アップが必要だ。


中小企業静岡(2000年 5月号 No.558)