静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2009 March No.664 自然環境を活かし 日本一清楚な温泉保養地に寸又峡美女づくりの湯観光事業協同組合
無垢の自然に溢れる
南アルプスの深い山々に囲まれた寸又峡。エメラルドグリーンの水面にかかる夢のつり橋。新緑や紅葉の季節には、一際美しい表情を見せる渓谷の数々。「21世紀に残したい日本の自然100選」に選ばれるなど、無垢の自然に溢れるわが国有数の景勝地である。 寸又峡までは、SL列車で有名な大井川鉄道に揺られ、行くことができる。金谷から終点の千頭までおよそ75分、そこでバスに乗り換え40分程で到着する。自家用車を利用すれば、金谷から1時間半程で行くこともできる。 昭和37年に源泉開発が行われ、温泉観光地として本格的にスタート。南アルプスの麓から湧き出す温泉は、硫化水素系単純硫黄泉で、湯上り肌が“つるつる” “すべすべ”する美肌効果から「美女づくりの湯」と呼ばれ、多くの観光客に親しまれてきた。 地域全体でスクラム開湯当時、旅館業者は「旅館組合」、飲食店・土産物店は「商店発展会」というそれぞれ2つの任意組織を立ち上げ、誘客活動を展開してきた。 しかし平成に入り、不況の長期化による観光客の減少、後継者問題なども重なり、地域が一体となり観光活性化に取組むべきことが急務となっていた。 そこで平成12年4月、この2つの組織を母体に、旅館・飲食店・土産物店・マッサージなど、寸又峡温泉の全事業者30名がスクラムを組み組合を設立した。 「地域が結束し共通の目標に向かうことで、積極的な誘客活動が展開できる。法人化で組織運営も公明正大になり信用力・発言力も強化できる」。設立発起人も努めた望月理事長は述懐する。 コンセプトと三大原則組合は、誘客キャンペーンや多彩な観光イベントを実施、積極的な誘客活動を行っている。 「誘客活動を行う上で、寸又峡の良さを強くアピールすることが大事。コンセプトを明確に定め、それに基づき組合員が一丸となり魅力ある温泉地づくりに取組む姿勢が必要」と理事長はコンセプトづくりの意義を説く。 設立3年目を迎えた平成14年。寸又峡温泉は開湯40周年を迎えた。記念すべきこの年、コンセプトを「日本一清楚な温泉保養地づくり」に決定した。 同温泉では、開湯当初から、1.ネオンサインをつけない 2.山への立て看板をつけない 3.地元に芸者やコンパニオンを置かない。以上の三大原則を作成し統一したイメージづくりに取組んできた。明確なコンセプトを定めたことで、更にこの原則を堅持し、「天狗まつり」「和紙のあかり展」「温泉感謝祭」「民話の語り部」など、伝統的・幻想的イベントを工夫を凝らし実施していくことで、日常生活の喧騒を忘れ、落ち着いた静かな時間を過ごせる保養地づくりを目指している。 山岳図書館を開館組合は寸又峡温泉への誘客を図るため、施設面の運営・整備にも力を注いでいる。 温泉内にある町営露天風呂「美女づくりの湯」の運営管理も組合が行う。町営露天風呂を含め組合員の温泉施設三箇所が利用できる「湯楽戯(ゆらぎ)手形」を販売し、観光客に多彩な温泉利用を提供している。 また、駐車場施設の運営管理もシーズンには重要な仕事となる。 「渋滞解消や観光客が安心して歩けるように、車両乗入れを規制する“パーク&ウォーク”を6年間続けてきたが、補助金の打ち切りなどで、昨年止む無く中止。当地域は観光産業が根幹であるので、官民一体で事業継続を検討することが必要」理事長は強調する。 今年3月、新たな試みとして、南アルプス・奥大井の歴史や文化、自然を伝える拠点「南アルプス山岳図書館」を開館させる。 「南アルプス・奥大井は本州で唯一環境省の原生自然環境保全地域に指定されるなど、世界遺産に匹敵する自然環境が残る。この自然を守り、拠点づくりを進めることで、寸又峡の魅力を世界に向け発信していきたい」。理事長は、富士山静岡空港開港も視野に入れ、誘客増へ積極的な取組みを続ける。
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