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特集

ここに着目 組合決算のツボ

いよいよ、3月を迎えた。本会会員の8割以上が決算を迎える、事業年度を締めくくる重要な月だ。

そこで特集では、財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分など決算書類の作成を中心に組合が押さえたい組合決算のポイントをまとめた。

適正で明確な決算処理にぜひお役立て頂きたい。

決算報告制度

「決算」とは、事業年度末において、その期間中の経営成績を計算し、その期末の財政状態を明確にする作業である。

中小企業等協同組合法(以下、「中協法」)では、組合運営の結果を示す事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案などの決算関係書類は、監事の監査を受けた上で理事会の承認を受けなければならず、理事は、理事会の承認を受けたこれら書類(決算関係書類、事業報告書、監査報告書)を、通常総会の通知とともに組合員に提供しなければならない、と規定している。

また組合は、毎事業年度、通常総会の終了の日から2週間以内に決算書類を行政庁に堤出することが義務付けられている。この規定に違反して書類を提出しなかったり、虚偽の書類を提出したときは、組合の役員は、過料に処せられるので注意が必要だ。

以上のほか会計報告に関連するものに、会計帳簿等の閲覧、謄写権及び検査の請求権に関する規定がある。

会計帳簿等の閲覧・謄写権とは、組合員は、総組合員の100分の3以上の同意を得れば理事に対し、会計の帳簿及び書類の閲覧又は謄写を求めることができ、この場合に理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならないとするもの。

一方、検査の請求権は、組合員は総組合員の10分の1以上の同意を得て、その組合の業務や会計が法令、定款、規約に違反する疑いがあることを理由として、行政庁にその検査を請求することができるとするもので、この請求があったときは、行政庁はその組合の業務又は会計の状況を検査しなければならないことになっている。

また行政庁は、組合の業務若しくは会計が、法令若しくは定款に違反する疑いがあり、又は組合の運営が著しく不当である疑いがあると認めるときは、その組合の業務若しくは会計に関して必要な報告を徴し、又は組合の業務若しくは会計の状況を検査することができる。

以上のように決算書類やその基礎となる会計処理については、組合の理事及び監事は多くの責任があるとともに、組合員だけでなく行政庁も重大な関心をもち適正な処理と報告を要求している。

したがって、会計担当者は組合会計基準を十分に理解してそれを遵守することが求められる。

なお決算関係書類は、中小企業等協同組合法施行規則(以下、中協法規則」)に基づいて作成する必要があるが、様式は定められていないので、全国中小企業団体中央会制定の組合会計基準を準拠することをお勧めする。

図1. 決算から通常総会開催までのフロー図

(拡大図を見る)