静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2009 March No.664 現場の声を商品に “ゴム”の可能性を徹底的に追求。完全オリジナル商品が誕生株式会社ゴムQ(掛川市)
“ゴム”のもつイメージを逆手にとった商品を開発したかった」。 掛川市内の工業団地に本社を置く(株)ゴムQは昭和51年、現会長である先代社長が創業した工業用ゴム製品メーカー。自動車などに使われるゴム製品の製造を手がけ、業績を上げてきた。 先代が「変化の激しい時代こそ、新たな感性が必要」と鈴木利明現社長にその座を譲ったのは、平成15年のこと。当時26歳の青年社長は、「最初の3年で本業の工業用ゴム製品の売上を倍にする。それが実現できたら、自分のやりたいことを存分やらせてもらおう」というふたつの目標を立てた。 プロ野球選手を目指し、実業団でプレーしていた経歴をもつ鈴木社長。巨人軍の谷選手とは同期生だという。 社長就任から3年後、第1の目標である本業の売上倍増を達成。そして取り組んだのが、オリジナル商品の開発だ。材料応用科学に精通する人材を迎え、デザイナーをスタッフに招くなど、設計から製造・検査・販売まで全て内省化に成功。超低硬度の特殊シリコンを素材とする“Qsmile”(キュースマイル)シリーズが誕生した。 ダンベルタイプやハート型、ダイヤ型、だるま型など多彩なデザインをもつ“Qsmile”は、200℃の高温からマイナス40℃の低温まで耐えられる耐久性や液体に近い柔らかさに加え、12色を超えるカラーバリエーション、食品衛生法の基準をクリアし、口に入れても無害な安全性を備えた。 「握るだけで握力回復やツボの刺激などリラクゼーション効果が得られ、介護や医療、スポーツ、健康増進などさまざまな場面で効果が期待できる」。 東京の雑貨量販店での販売や大手事務用品カタログへの採用も決まるなど、破格とも言える評価を得た。この成功の背景にあるのは、徹底した現場の声を生かした商品づくりである。とくに、県立こども病院の協力を得て臨床を繰り返し、開発した筆記具の持ち方補助具“Qリング”は、使う側の視点に立った商品だ。 「従来の補助具は、指でつまむことのみに注目しており、手指の発達が未熟なこどもはうまく使うことができませんでした。障害をもつこどもが懸命に鉛筆を握ろうとする姿を見て、何とかしたいと思った」。 大小ふたつのリングをもつQリングは、大きいリングを利き手の親指に、小さいリングに筆記具を装着することで、親指、中指、そして親指と人差し指の間の3点が固定され、うまく握ることができる。またスプーンにも使用できるなど汎用性も高い。 青年社長の溢れるバイタリティとこだわりがゴムの可能性を無限に広げる。
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