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シリーズ「くみあい百景」

人と動物の快適な共存環境づくりをサポート

静岡県ケネル事業協同組合

住所:〒427-0053
島田市御仮屋町8804番地の4
理事長:黒木章夫
組合員:64人
設立:昭和48年8月
TEL:0547-35-6725
FAX:0547-35-6738

 

ペットブームの高まりから法人化

「人と動物がいかに快適に共存できるか、を考え、提案していきたい」黒木理事長。

今や単なる愛玩動物ではなく、かけがえのない家族、人生の伴侶に例えられるペット。都市化や核家族化、少子高齢社会が進む中、希薄な対人関係やストレス社会の癒しをペットに求める人も増え、もはやペットは、我々の生活に欠かすことのできない存在だ。

わが国でペットブームが本格化し始めた昭和38年、当組合の前身である静岡県畜犬組合が発足した。その後、捨て猫や野良犬が社会問題化したことなどから、同48年「動物の保護及び管理に関する法律」が成立。これに合わせる形で、法人化に踏み切った。

組合員には、ペットショップ(販売店)に加え、ブリーダー(繁殖業者)も含まれ、近年は、ペット整体や美容など新たな分野に進出する組合員も多い。

組合員のショップで扱うペットは、イヌ、ネコ、小鳥、ハムスター、観賞魚、爬虫類など多岐にわたるが、その9割以上をイヌとネコが占める。

「静岡県西部から愛知県三河地方は、全国でも有数のイヌの生産地。このため、組合員の2/3は県西部の業者で、特にイヌをメインに扱う組合員が多い。組合名に“犬舎”を意味する“ケネル”を用いたことにもそれが表れています。

29人でスタートした組合は、ペットブームとともにその数は倍になりました。その多くは、創業者。他県の組合に比べ創業者が多いのが、わが組合の特長です」。

少年時代からの犬好きが高じて会社勤めを辞め、プロのハンドラーとしてドッグショーなどで活躍する黒木章夫理事長も創業者の一人だ。

新たな組合事業の研究も

ペットオークション風景。組合事業との効果的な提携方法も模索中だ。

平成17年4月、浜松市湖東町の丘陵地に組合員の共同出資によるペットオークション場が開設した。ペット犬を中心に約400頭のオークションが可能な広大なスペースを誇る。

「県内はもとより、遠く首都圏や名古屋圏からもショップオーナーやブリーダーが集まる県内最大のオークション場。組合は直接運営にはタッチしていませんが、ほとんどの組合員がここを利用し、組合員間の情報交換の場としても大いに活用されています。今後は、ここを活用した共同販売事業など、組合事業との効果的な提携方法を研究していきたいですね」と黒木理事長は、組合事業の新たな展開へ意欲をみせる。

「動愛法」改正で業界が変わる

ペットブームの拡大に伴い、国内のペット関連ビジネス市場は、1兆円を突破。今後もさらなる成長が見込まれる分野として注目を浴びる。一方、こうした空前のブームの裏で、心無い飼い主によるペットの遺棄や虐待、インターネットを通じたペット通販のトラブル増加などが、大きな社会問題となっているのも事実だ。

これらを受け、平成18年、「動物の愛護及び管理に関する法律」(動愛法)が改正。飼い主の責務強化とともに動物取扱業者への規制強化が盛り込まれた。

「改正の大きなポイントは、届出制だったペットショップやブリーダーなどが、登録制になったこと。今まで届出すら必要なかったインターネット販売業者もその対象となる。今後、要件の整わない業者は、販売ができなくなります。今回の法改正は、われわれにとって、これら業者との明確な線引きになるはず」と理事長は、法改正を歓迎する。

さらに、販売店への動物取扱責任者の配置が義務づけられ、動物の特性や健康状態などについて、飼い主への事前説明も求められる。

こうした中、組合は昨年、動物取扱責任者の要件のひとつである、「家庭動物販売士」の受験対策講座を開催。組合員やその従業員ら100名以上が受講するなど、ニーズにマッチした事業を展開している。

これまでも、プロの販売員やブリーダー育成、遺伝学、疫病の防止対策、関係法令など、その時々の要望に応えた幅広い研修を実施。効果的な教育事業に注力する組合の姿勢がここに表れている。

人とペットが共存できる環境を

ペット購入者に飼い主としての自覚を促すため、配布されるペット版「母子手帳」。

昨年、組合は、ペット購入者に飼い主としての自覚を促すため、組合員を通じて、「わんわんにゃんにゃん母子手帳」の配布を始めた。
ペットの成長やワクチン接種などの記録、救急情報に加え、重要事項の説明を受けたことを購入者に確認してもらう確認書を一冊にまとめたペット版の母子手帳だ。

「単にペットを販売するだけではなく、エサの選び方や飼育方法、健康衛生管理などを飼い主に対してアドバイスするとともに、人と動物がいかに快適に共存できるかを考え、提案するのが私たちの役目。かわいいから、と衝動買いをする方も少なからずおいでですが、われわれが扱うのは、大切な生き物。さらにいえば仲間です。組合では、こうした啓発活動にも積極的に取り組んでいきたい」。