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クローズアップインタビュー

中央会表彰式典で県知事表彰
日本の伝統文化と菓子文化の融合めざす

静岡県菓子工業組合
理事長 杉山孝俊氏

2月6日、静岡市で開催された中央会表彰式典で、産業振興功労者に与えられる県知事表彰を受賞した。「多くの組合関係者に支えられてきました。今回の受賞はその証として頂戴したものと、周囲への感謝の気持ちでいっぱいです」。

昭和58年、34歳の若さで県菓子工業組合の理事に、平成15年に推されて理事長に就いた。組合では早くから中心メンバーとして低糖志向、健康志向にマッチした商品開発に尽力。平成2年度に実施した活路開拓調査事業、4年度に実施した同実現化事業では委員として開発に携わり、県産品を利用した新商品開発へと導いた。

「静岡県を代表する銘菓を作ろうと関係者の意気込みは高かった。ただ、販売手法やマーケティングで足りなかった一面はあるんです」。

こうした反省は今、充実した組合の研究・研修事業に生かされている。

「なかでも力点をおくのが技術・営業・販売力の三つ。これが、商売繁栄の生命線ですから」。

中小菓子メーカーの苦戦を一言でいうなら、生活習慣や志向の変化に業界が対応しきれていないという点だ。「家庭や会杜など、菓子がどのようなシーンで食されているかを考えないと。お客様のニーズに合った味や大きさ、パッケージ、値段になっているか。また、和菓子なら日本茶との相性を考えた商品、という点が重要なキーワードでしょう」。

ニーズが多様化する今こそ、的を絞った特徴ある商品づくり、店舗ビジョンが必要だと繰り返す。自身のコンセプトも、「狭く深く」。もち米や大豆など素材は産地や厳選銘柄にこだわり、健康・安心・おいしさの探求に怠りはない。この4月には、新たに『あん生クリームどら焼き』を店舗で実演販売する計画も進めている。「お客さんも楽しみにしてくださいますが、何より私自身がワクワクしています」。

株式会社松柏堂本店の社長。慶応3年創業140年の歴史をもつ、「あべ川もち」で有名な老舗の5代目だ。菓子づくりを通じて国の恩に報いる「製菓報国」を理念に、日本の伝統文化と菓子文化の融合を志す。

もともと、家業を継ぐ立場にはなかった。少年時代の夢は外交官。中学では、静岡市内で英語の弁論大会に優勝もした。大学は法学部。しかし、大手系列販社の輸入担当に就いた2年後に兄が他界したため、急きょ家業への就職を決めた。

奉仕の思いは、組合のみならず地域に対しても向けられる。5人の子供が小・中・高在学時には、いずれもPTA会長を歴任。現在は、民生委員や保護司として広く活躍する。