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視点・指導員の現場から

ワールドカップにみる『企業経営の極意』

予選敗退の要因

約1ヶ月間にわたり続いたFIFAワールドカップは、イタリアの優勝で幕を閉じた。日本での放送時間が深夜だったこともあり、寝不足の日々を過ごされた方も多かったのではないでしょうか。(私もその一人)

史上最強メンバーといわれた我が日本代表。初戦、2戦目と、目前にあったかに思えた勝利を掴むことができず、まさかの予選敗退に終わってしまった。技術は世界レベルにあるといわれていた日本代表に足りなかったのは何だったのか。

私が思うに課題は1つ、決定力の絶対的な不足である。パス回しがどんなに上手くても、高いボールテクニックを持っていようともゴールを奪わなくては勝負には勝てない。つまり、最後のフィニッシュを確実に決めるということだ。

これは、企業経営でも同じことがいえるのではないだろうか。優れた技術も良い製品も売れなければ意味がない。如何に市場にうってでるか、買ってもらうか。相手守備陣(競合先)の堅い守りをかいくぐり、ゴール(ユーザー)を奪う嗅覚や工夫を常に持ち合わせる必要がある。

"過去"にとらわれない

24年ぶり4回目の優勝を勝ち取ったのは、攻撃的サッカーへ変貌を遂げたイタリア。イタリアのサッカースタイルといえば、イタリア語で「カギを掛ける」、閂(かんぬき)」という意味の「カテナチオ」と呼ばれる堅い守りからのカウンターサッカーが伝統であった。

しかし、大きな大会で後一歩のところまでいきながら優勝を逃し続けてきた同国では、このお家芸とも呼べる伝統からの脱却を図り、今回見事に栄光を掴むことができた。

伝統や過去の栄光だけにとらわれない。これも、企業経営に通じる点である。最近、"老舗"と呼ばれる企業が倒産していくニュースをよく耳にする。要因は様々。しかし、過去の財産にとらわれ過ぎて、また、胡坐をかいて変化を怠ったため、時代にとり残されてしまった一面は否定できない。大きな世の中の動き、変化にどう対応していくか、常に変化するユーザーの意向やニーズに素早く対応していくかが勝負の分かれ目になる。変えることは大きな労力と決断力が求められるが、時代やニーズの変化に対応していくことが勝ち残るためには不可欠である。

勝利の条件とは・・・

日本代表が世界の一流国と対等に渡り合い、また、勝負に勝つためには何が必要か。勝負事、特にプロの世界では、精神論は意味がないと考える。そうしたものは持ち合わせていることが当たり前だからである。日本代表に足りないものは、優れたFWの育成。しかし、簡単に育つものではない。私は、日本の個性を見極め、それをピッチで指揮する監督が、日本には絶対に必要だと思う。

企業においてそれは、優れた経営者に置き換えることができる。ヒト、モノ、カネ、情報をバランスよく調和させ活かしていくかが国際競争社会にあって勝負の鍵となる。(長坂)