google

視点・指導員の現場から

加速する中小企業の環境マネジメント

環境マネジメントとは

いま経営者は、取引先や消費者、行政等の利害関係者から環境問題への取り組みに対し一段と厳しい要求がつきつけられている。

たとえば大手企業から協力会社への取引の条件として、環境マネジメントシステムを構築している企業を優先する時代に入っており、それは零細企業も例外ではない。

環境マネジメントシステムの具体例としてはISO14001のほか、中小企業でも取り組みやすいシステムとして環境省が進めるエコアクション21がある。中小企業から寄せられる多くは「取得するにはどうしたらいいか」という質問である。

手順としては、まず取り組みのための社内体制をつくり、現況の環境への負荷の把握、取組状況の把握を行い、環境マネジメントシステムの構築を図ることになる。その中で、多くの皆さんがつまずくのは最初の段階、「環境への負荷の把握」である。これには電気量、ガソリン量や化学物質量などデータの整理が必要であり、これに膨大な作業を強いられる。しかしながら、これを乗り越え認証取得を実現した企業から、「環境活動に対して興味が深まった」「職場の一体感が生まれた」「エネルギー使用への意識が高まり、コスト削減になった」など多くのメリットが聞かれている。また、ISOの費用が比較的高額なことからエコアクション21へ移行する企業も増えており、「取得費用が5分の1で済んだ」「費用効果を考えるとエコアクションで十分」等の声もあがっている。

自治体支援も進む

さて、最近では県内の自治体において、中小企業のエコアクション取得に対する支援の動きもでている。

例えば昨年度、富士宮市では数10社の市内企業を対象に、グループ別にアドバイスを受けながら一斉に取得を目指す自治体イニシアティブ制度を実施。また、静岡市でも同制度により、市内の企業約50社が来年4月の取得を目指し既に取り組みを始めた。牧之原市でも、自治体イニシアティブ制度の実施を予定するとともに、市自体のエコアクションの取得を目指す動きをみせている。

また、企業に対しても協力会社が集まり一斉に取得をする補助プログラムが本年度からスタートした。静岡県では新施設設置の際の事前協議の免除を決め、また環境省は、産業廃棄物処理業界における優良性評価の基準の1つにISO取得だけではなく、エコアクション取得を盛り込んだことから、今後は企業の取得が促進されると考えられる。

全国をみても、エコアクション21取得に向けた動きは活発だ。現在ISO14001取得企業約2万社に対し、エコアクション21の取得企業は約1,000社。しかし、後者は昨年システムがスタートした1年間の実績であることを考えるとISOの初年度実績を上回る上々の滑り出しだ。県内中小企業においても、環境マネジメントシステムへの取組みはいっそう重要性を増していくと思われるので早めのご相談をお勧めする。(環境資源協会 井上)