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クローズアップインタビュー

トップ就任で組合の重み再認識
伊東の活性化へ
温泉・自然・文化軸に新たな試み

伊東温泉旅館ホテル協同組合
理事長 稲葉安光 氏

理事長に就任して1年。痛感するのは、組合の重みだ。「厳しい業況にも関わらず、理事のみならず各委員たちが一生懸命にイベントや行事を手伝ってくれる。感謝の思いで一杯。みな、組合を大事にしてくれているんだなと思います」。

就任当初は「なぜ若輩者の自分がトップに?」との思いもあったが、果たすべき役割は痛感している。温泉観光地、伊東の復活である。

「伊東の資源である自然と外来文化、食との融合が基本。それには行政、商業、農業、水産業との連携がカギ」と活性化への糸口を見据える。

この1年、地元観光協会などとアジアの団体客受入の研究をしたり、流行のウェルネス・癒しに関する研修を精力的に重ねてきた。

「もともとある伊東の良さに、何をどう味付けしていくか。新たな客層を呼ぶのも大事だが、今来てくれる方の満足度を高めることも重要だ」。

伊東に求められるのは温泉。その温泉そのものについて、PRが不充分ともいう。自慢は約750箇所から湧き出る全国屈指の豊富な湯量。

集中管理でないゆえに旅館ごとに異なる泉質をもち、かけ流しの源泉宿も多い。そこに、湯巡りの楽しみもある。こうしたお湯そのものをPRする工夫、演出が足りないと考える。

また、研究中のウェルネスについても、ただ流行を追うつもりはない。機械トレーニングと温泉を融合させることによる健康増進への科学的根拠を明示しようと、伊東市や東大と連携。この秋には、モニター旅行の実施を控えている。

一方、体験型イベントも重視する。昨年は、地引き網体験を20年ぶりに復活させ、延べ2,000人を集める成功を収めた。今年は、自然観察の要素も組み込みたいとアイデアを練る。

おし花の宿遊季亭の社長。現在は温泉街のシンボルで観光文化施設となった東海館の創業者を祖父に持つ。「個性溢れる旅館をめざす」が持論で、遊季亭は花をテーマとしたこだわりの宿。女将自作の押し花が、いたるところで優しく出迎える。

昭和25年、東海館で生まれる。東京の私立麻布中・高校を経て立教大学へ進学した。そんな経緯もあって、長島巨人の大ファン。かつては、巨人が負けると風呂に入らないなど、周囲をあきれさせたことも。

時間があればクラシック鑑賞。自から伊豆フィルハーモニー管弦楽団のボランティアに精をだす。ワインや落語にも造詣が深い。「それと、誰よりもネコ好きって書いといて」と茶目っ気を見せる。

5月より中央会理事。55歳。