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富士の叫び

新経済成長戦略

いま、着実な景気回復軌道に乗る日本経済だが、その行く手に「成長の壁」として立ちふさがっているのが、人口減少社会の到来であり中国やインドに代表されるアジア諸国の台頭であろう。

この2つの大きな課題に対し、果敢に挑戦して世界に存在感のある「強い日本経済」「魅力ある日本」を構築していくためこの6月、経済産業省より「新経済成長戦略」が発表された。この新戦略は、近い将来の「日本経済・産業のあるべき姿」と、それを具体化するための経済産業政策の詳細な道筋を示したものといえる。国際競争力の強化と地域経済の活性化が戦略の二本柱に据えられ、ヒト・モノ・カネ・ワザ・チエといった基礎体力の強化に向けた横断的施策についても細やかな提言がなされている。

特にその中で、中小企業や組合における活性化戦略は「地域経済の活性化」の中に盛り込まれた。(1)地域資源活用企業化プログラムの推進(2)中小小売商業振興を通じたまちづくりプロジェクトの推進(3)地域活性化のためのモノ作り中小企業の振興(4)小規模・零細企業の振興(5)中小企業の再生・再起業の推進(6)地域活性化のための新たな金融手法の活用(7)女性や高齢者を活かした地域中小企業の事業展開支援(8)サービス産業の革新など、8項目がその主要施策として並べられている。

大変盛りだくさんではあるが、1つ思うのは近年のベンチャー育成や新たな創業政策などが影を潜め、これまで中小企業が強みとしてきたモノづくりに対する支援や特色ある地域産業の振興など、イノベーションに向けた地域・企業群のボトムアップ支援に回帰した考え方が随所に見られる点だ。我々中小企業者にとってはこのような複合的な戦略は望むところであり、有効に働くものとして大いに期待している。

いずれにしても産業の礎であり、地域経済と雇用を支える中小企業の活性化こそが今後、「強い日本経済」「魅力ある日本」の基盤となるものと確信している。新戦略は政府・与党がまとめる「経済成長戦略大綱」に反映され2006年の基本計画に盛り込まれるが、” うたい文句“に終わらせることなく着実に実行いただくことを強く要望するものである。

静岡県中小企業団体中央会・会長 井上 光一

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