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くみあい百景




▲試食コーナーでは、たくさんの
 おいしい魚を同時に試食できる。

水産物の消費形態は大きく変化

 焼津市は、古くから漁港として栄え、漁業関連を中心とした産業が盛んな町である。ただ国内漁業生産量の減少と輸入水産物の増加、市場流通の機能低下等、業界は大きな転換期にある。これに加え、一般消費者の個食化・外食化の進展と水産物の消費形態は大きく変化している。また利用者は観光バスで来店する観光客が多いため、商品の嗜好は、関東・中部・関西圏などのローカル色がでやすい。これに加えて個人のニーズは多様化の一途をたどっている。このため、品揃えや陳列面などで顧客に十分なアピールができない店もでているという。来店客数、バス来場台数は平成五年度二百五十万人、二万五千台を最大に、平成十五年度は百八十万人、一万七千台と減少傾向にある。取引先の景気低迷や同業者・異業種間の競争激化のほか、施設は二十年が経過し、老朽化も進んでいる。また、来場者に充分な快適性を与えているともいえない状況にある。かつては、施設リニューアルの議論も浮上したが、基礎データ不足や組合員の意思統一の欠如などから対応策が先送りされてきた経緯がある。

活路開拓事業で課題を顕在化

▲意気込みを語る
 寺尾理事長


▲設立当時の様子を話す
 川島事務局長


 平成十六年度、中央会の中小企業活路開拓調査・実現化事業の実施により、組合と組合員の持つ潜在力と課題の洗い直しに取り組んだ。調査結果により利用者は、「鮮度」「特色ある商品」「量目に比較しての安さ」を期待していることが浮き彫りになった。これを踏まえターゲット顧客の明確化、施設の魅力アップを含めた共同事業の再構築を図る考えだ。
 具体的な方法として、センター内の中央広場で、「朝どり広場」を開催。毎月第一日曜日に農水産物、地酒等を並べる。教育研修事業の一環として組合員に接客マナーの向上、観光客の嗜好にあった商品陳列(マーケティング)を行う。

魚河岸シャツを作成する

 ホームページでは、イベント情報、組合員情報、商品情報、魚の薀蓄と、豊富なボリュームで情報発信を行う。また組合員二十店舗のロゴマークをあしらった魚河岸シャツも作成する予定。
 「焼津の新鮮な魚をいろいろな場面で多くのお客様に食べていただきたいと思っています。そのために様々な角度でお客様にPRすることが大事だと思います。我々は魚をただ売るというよりは、お客さまにおいしい魚を買ってもらうという姿勢をお見せしたい。さかなセンターのファンになってもらえればうれしいです」(寺尾理事長)
 顧客サイドに立った地道な取り組みで、今後さらなる組合の発展
が期待される。



中小企業静岡(2005年6月号No.619)