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感慨深い浙江省との二十周年

 先ごろ静岡県と浙江省友好提携二十周年式典が杭州で開かれ、本県からは文字通り各界、各層から十一もの団体から実に、八百名を超える訪中の大デレゲーションが実現した。
 事の初めは、中国通で知られた竹山祐太郎知事が扉をたたき、時の山本敬三郎知事によって成立したものである。私は山本知事の要請を受け、多忙な知事に代わって時には毎月のように訪中し、中央政府の要人や浙江省幹部と折衝を行ってきた責任者だけに、感慨ひとしおであった。
 杭州市の式典では石川県知事をはじめ両国の代表二千人が列席し、私はいわゆる“井戸を掘った人間”の一人として、次のようなあいさつをした。
 「浙江省をふるさととする“温州みかん”お茶をはじめ、日本一の富士山と美しい西湖など気候風土が似かよった地域同士として、静岡県の提携先は貴省しかないと心に決めて衝に当ったことを、いま本当によかったと思っています。
 しかし、交渉相手でありました陳副省長は、“井上さん、貧しい弟をもつと大変ですよ。構いませんか”と実に率直に話されました。私は、お互いが助け合うのが友好提携です。貧しいのはほんのひとときで友好は永遠です、とお伝えしました」と当時のエピソードを紹介した。
 あれから二十年の歳月が流れ、天安門事件や靖国や教科書問題等もあったが、この提携は多くの研修生の交換や経済面でも着実に進展している。とくに浙江省(人口四六〇〇万人)を中心とした中国沿海部の発展ぶりには、目を見張るものがあり、経済面では貧しい弟どころか今やわが国にとって脅威ともなっている。
 しかし、歴史はもっと長い目でみなければならない。十三億の民をもつ中国が発展し、生活レベルが向上することは、一衣帯水の両国にとって、特長を活かした棲み分けを考え、相互の利益に合致してくるものと確信している。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2002年 12月号 No.589)