「価格破壊」というパフォーマンスをひっさげて登場し、流通業界に特異な存在として君臨し続けていたダイエーの中内功社長が経営業績の責任を問われ、その座を明け渡す破目になった。高度成長時代の申し子といわれてきた氏が、自らその幕引きを演じたことになった。
県内最大手スーパー・ヤオハンの破綻、銀行は倒産しないという神話をいとも簡単に覆した長銀や拓銀の事例。多くの大手ゼネコンの株価が危険水域の百円を割り込み、はたまた国際的大電機メーカーなども赤字転落の憂き目にある。これら大企業のていたらくには、目を覆いたくなるものがある。
ひるがえって静岡県内の業界を俯瞰してみると、長期低迷の経済下で呻吟しながらも、各地方銀行・各信用金庫ともに健全経営が伝えられており、建設業界でも安定した決算を計上している企業も多く、苦しいながらも大企業との好対照をなしている。
このことは、いったい何を意味するのか。どう理解すればいいのか。あえて一言でいえば、グローバル化やビッグバンといわれる競争激化のなかでも、身の丈に合った経営をしていれば、企業はそう簡単に倒れるものでないことを物語っているのではないかと思う。
誰もが知っている”己を知り、敵を知れば百戦危うからず”に帰結する。
企業の優劣は、その規模や資本力や学歴的経営資源で決まるものではない。
要は経営者(トップ)の企業に対する絶対的熱意が不可欠である。
今日のような変化の激しい時代こそ、小回りのきく中小企業の経営者が、真の力を発揮できる時と認識を新たにし、泣き言ばかりを先行させないで、冷静な判断をもって、経営にあたることが必須条件であることを痛感する。
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