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 透き通った空気、白雪をいただいた
富士の山―――。
 寒い冬の朝の一景である。
 コートの襟を立てサラリーマンが駅に向かい、厚手のマフラーを巻いた女学生が、白い息を弾ませて先を急ぐ。
 その刹那富士の姿を見れば、何か得でもしたような気になるから不思議だ。
 表紙の風景は、薩峠から臨む富士。
 駿河湾越しに見るここでの富士山は、やはり冬がいい。
 紺碧の海面と白雪をのせた富士はまさに絶景。美しさに心奪われた広重も、この風景を描くところとなった。
 ここは、昔、旧東海道の難所のひとつに数えられたが、今も、東名高速道路と国道が並行して走る交通の要所であることに変わりない。違うのは、急ぎ足で通り過ぎるドライバーには、この絶景を見る暇(いとま)もないことか。
 季節は、晩秋から初冬へと駆け足で進む。四月から表紙を飾る富士の図も、いよいよ`最後の季節aとなった。
 この国は、その季節にあった折々の風景を楽しむことができる。
 四季を感じられるというのは、本当にいいものだ。
(秀)

 


中小企業静岡(1997年11月号 No.528)