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 一日も早い再建を

 ヤオハン・ジャパンが会社更生法の適用を申請し、事実上倒産した。二、三年前までは予想もしなかった事態である。
 九五年には二〇〇億円を投じ、東洋最大規模の百貨店「ネクステージ上海」をオープンし、中国スーパー一千店構想を打ち出すなど、多くの話題をまいた。一時は“流通のソニー”と形容され、その経営は前進あるのみで日の出の勢いであった。
 しかし、その積極経営と海外展開が裏目にでる結果となってしまった。負債総額一千六百億円、債権者一千人を超す、流通業としては戦後最大規模の倒産といわれる。
 当然、中小企業を中心に取引業者への影響が心配されるところである。そのため、静岡県では、いち早く倒産企業の知事指定とした。
 そして、私共中小企業団体も、中小企業への影響を配慮しつつ対策を講じているところである。
 メーンバンクがなかった。トップと現場の遊離。虚像と実像の乖離。トップダウン式ワンマン経営の限界など、倒産の理由はいろいろいわれている。
 これから再建していく道は長くて険しい。
 管財人選任や更生計画が関係人集会で決議されるまでには一年以上はかかるであろう。連合静岡は「買い物はヤオハンへ」のキャンペーンを張るという。うるわしい光景である。再建には金融機関をはじめ取引業者など、こうしたいろいろな人の協力が必要だ。
 千里の道も、皆が協力すれば道程の半ばに値し、この力をもってすれば、いかなる難局も乗り越えることができる。私共もそのために微力を尽くしたい。
 一日も早い再建を願って止まないところである。

静岡県中小企業団体中央会・会長 


 中小企業静岡(1997年11月号 No.528)