富士の叫び  フラッシュ  お知らせ  特集  クローズアップ  ケーススタディ  ネットワーク 
役場の自慢話  組合にしひがし  あるある全国おもしろ組合  300字登場  編集室便り
情報と通信へ
・・・経営 経済
「進取の気概」
 過去の道ばかりでは、進歩がない!
(株)大和シンク・エージェンシー
取締役社長 石 橋 達 也



 私がワードプロセッサ(未だ当時は「ワープロ」なる簡潔な略語が誕生していなかった)に取り組み始めたのは昭和五六年(一九八一年)頃だから、今から大凡二〇年前である。当時、「これからの時代、新機種のワープロくらいは使いこなさなくては」と意気込んで始めた。
 機種は富士通製のワープロ「OASIS」であった。勿論ソフトは「オアシス」、キーボードは富士通独自の「親指シフト方式」である。以来五年程そのワープロ専用機で仕事をこなした。従来手書きで行っていた業務がワープロ化して格段に効率のよいものとなった。
 約十年前、やはり富士通製のFM-R50HXというパソコンにかえた。そこへロータス「1―2―3」という表計算ソフトや富士通のワープロソフト「OASIS」をインストールして仕事をした。
 ワープロ専用機だったころと比較して格段の効率化が図れた。表計算ソフトは、賃金改訂の際のシミュレーション作業にはその真価を発揮。かつて手作業で一週間もかかった計算作業が、数時間で処理できるのには、使っている本人がびっくりしたものだった。
 ワープロ作業は、専用機時代と同じ「オアシス」ソフトだから馴れたもの。しかも、プリンタが高性能となっていたから、仕事が捗る。プリントアウトの作業は、大抵夜遅くなる。考えながらのキーボード相手の作業が夜九時、十時になり、それからが印刷作業だからだ。
 この印刷過程が短縮されて、相応に帰宅時間が早くなった。
 最近またパソコンの機種をグレトドアップ。富士通FMV-DESK POWER SEやノートパソコンFMV-BIBROである。ウインドウズ95やオフィス95をインストールし、相手側のソフトとの対応から表計算ソフトはEXCEL95、ワープロソフトはWORD95を使うようになった。事務所でも乗物の中でも使用出来て、また一段と活用範囲が広まっている。
 一寸難航しているのが、キーボードタッチ。十数年続けてきた親指シフトと違い、今回はJIS規格キーボード。EXCELやWORDは、親指シフト式では不向き。日本語をローマ字入力する必要がある。昭和一桁生まれは、確かな口ーマ字教育を受けていない。
 今、タッチピッチは遅くなっている。でも馴れればまた、より便利な機能を持ったパソコンを自由自在に駆使出来るようになるだろう。
 馴れ親しんできた仕事のやり方をかえるのは、なかなか抵抗感が強く馴染み難い。それを克服しない限り進化していく昨今の業務処理方式の恩恵は受けられない。
 労働省の賃金制度支援事業の普及セミナー中にもパソコンを使ったシミュレーション過程がある。私の場合、既に自己流ではあるが経験してきたので何の抵抗もなく飲み込めたが、未だパソコンに馴染んでいない他県の先生方の中には、大変戸惑っておられた方もいた。今からパソコン操作の基本から勉強して、その応用のシミュレーション操作をすることは、大変なことである。
 得手、苦手。好き、嫌いの区別を無視し、直感的に今後の時代に必要と思うことは、進んで取り組むことである。過去の道ばかりでは安全無難ではあるが、進歩が少ない。一つひとつの仕事にこの意識を。

中小企業静岡(1997年11月号 No.528)