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静岡県こだわりの味同組合
 
自然の味 そのまんま
 我々の生活に欠かすことのできない食料品。スーパーなどの食料品売場には、さまざまな商品が並んでいる。
 その中で、「自然の味 そのまんま」という金色のマークがついた商品を目にしたことはないだろうか。これらの商品は静岡県こだわりの味協同組合が認定したこだわり商品である。
 この組合が設立されたのは昨年12月。現在県内の食料品メーカー46社が組合員として加入しているほか、賛助会員として地元のスーパーや関連業者など組合の主旨に賛同した57社が参加、組合員とともにこだわり商品の普及に努めている。
 主な事業は認定事業と共同販売事業。組合員が生産する食品のうち、組合で定めた基準を満たすものをこだわり商品として認定。「自然の味 そのまんま」のマークの入った組合のオリジナル商品として、賛助会員であるスーパーなどを通じて販売している。
 商品は昨年12月より販売を開始。売上も順調に伸びている。
“こだわり商品”の基準は四つ
 こだわり商品の認定基準は、
1.県内産または国産の原料を使っていること、
2.食品添加物を加えてないこと、
3.おいしいこと、
4.高価でないことの四点。
 「“安全でおいしいものを安く”という、食品メーカーとして当たり前のことをしているだけ。こだわっているつもりはないんですが、実際にはこのような商品はあまり売られていないんです」(冨永理事長)
 認定は組合員と消費者で構成する商品委員会で行う。品目別に具体的な基準が設けられており、厳しい審査をクリアしてはじめて認定を受けることができる。また、販売後も使用原料のチェックや衛生検査を抜き打ちで行うなど、品質管理も厳重である。
 「認定の申請を受けても合格する商品は2割程度。衛生基準も県の基準を上回るものです。厳しい条件ですが、これに耐えられるメーカーでないと結局は生き残っていけないんです」(同)
 また、価格を抑えるための手段として、受発注や営業、物流、宣伝などを共同化し、組合員のコスト負担を軽減している。その結果、輸入品に比べて価格が数倍という国産の材料を使いながら、商品価格はほとんど変わらないところまで抑えている。
 現在認定された商品は納豆、豆腐、めん類など250種類。パッケージも統一され、店頭に並んでいる。組合では1000種類を目標としており、組合員各社の商品開発に期待を寄せている。

大型店にない商品で差別化を

 商品を販売しているのは賛助会員となっている地元のスーパーだけ。県内の食品メーカーと小売業者が協力することで両者が生き残りを図ろうというのが組合のねらいである。
 「県外から大型店の進出が激しくなれば地元スーパーの存続も厳しくなる。大手で売れているから売るという考えではなく、大手にない独自の商品構成で差別化を図ることが必要です。組合の商品を賛助会員の店舗で販売することが大型店との差別化につながるのではないかと考えています」(同)
 現在販売店舗数は、静岡・清水地区を中心に170軒。「まだまだ少ないですね。イベントなどに商品を出品しても消費者の方に“これはどこに売っているのか”と聞かれることが多いんですよ(同)
 組合では販売先の拡大を図る一方、イベントへの出展などを通じてこだわり商品のPRを行ってる。
 また、10月からは通信販売やインターネットを利用して、全国に向けた販売も手掛けることとしている。
 「いくらいいものを作り、販売しても使っていただかなければ意味がない。消費者の方に我々の考えをご理解いただき、商品を利用していただけるように訴えていくことが最も大切な活動だと考えています(同)
 組合の目指す“安全でおいしいものを安く”という考え方は、同時に消費者の願いでもある。組合の地道な活動が1人でも多くの人に支持され、こだわり商品が消費者の中に浸透していくことが望まれるところである。 
▲こだわり商品をPRするポスター
▲厳しい基準を満たすこだわり商品


 中小企業静岡(1997年10月号 No.527)
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