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「消費税改正による影響は?」
改めて商店主の知恵が問われる時

野口冬樹事務所
中小企業診断士 野 口 冬 樹

 周知のとおり消費税法が平成9年4月1日をもって改正された。
 その主な内容は消費税率の変更・簡易課税制度の改正・限界控除制度の段階的廃止・仕入税額制度の改正などである。
 これらの改正点で消費者・事業者にとって最も影響の大きいのは消費税率の変更であるが、消費税の税率は4%となり、地方消費税の税率は消費税額の25%(消費税率換算で1%相当)消費税と地方消費税を合わせた税率は5%となった。
 事業者にとっては、この消費税の適正な転嫁が最大の課題であるが、商工中金が実施した「消費税引き上げによる中小企業への影響」調査によると、販売価格へ転嫁できなかった企業は「全く転嫁できなかった企業」4.1%「一部しか転嫁できなかった企業」10.3%を合わせると14.4%であった。
 これを業種でみると、製造業8.9% 非製造業18.6%で 非製造業で転嫁できなかった企業が多い。
 筆者は、2〜3の県内商店街振興組合の構成メンバーである商店・飲食店を対象とした消費税の適正転嫁・駆け込み需要などについての聞き取り調査の機会を得た。
 その調査ヒヤリング結果を断片的に列記すると次のとおりである。
薬局…化粧品・栄養剤に駆け込み需要あり。ドリンク剤の価格引き下げ
酒小売業…4月1日前、内税方式4月1日以後、外税方式に変更。ビール価格引き下げ
和菓子製造小売業…内税方式を継続。仕入商品は外税方式として5%加算
子供・婦人服小売業…4月1日前全商品外税方式。4月1日以後バーゲン商品は内税方式に変更
靴小売業…従来からの在庫商品は内税方式。現在外税方式に切り換え準備中
果物小売業…内税方式。贈答品は顧客が予算で購入のため
鮮魚小売業…4月1日前、内税方式4月1日以後外税方式に変更
鞄小売業…高額商品に駆け込み需要あり
婦人服小売業…原則外税方式であるが、値引きが多くなった
眼鏡小売業…駆け込み需要あり。現在正常な状態
婦人服小売業…内税方式を考慮したが、支店であるのでシステム上できない
書籍小売業…4月1日前、内税方式。4月1日以後、書籍・文具は外税方式。雑誌は内税方式に変更
飲食店…4月1日前、内税方式。4月1日以後、外税方式に変更
 これは消費税率改正に伴う小売業の対応の事例であるが、高額商品については、駆け込み需要が多く、その後も顧客の値引き要求が強い。
 このような状況では、利益率の低下は免れない。そこで、それぞれの店で経営努力が払われている。
 週一回若い販売員を同行して東京市場での仕入を行うヤング衣料店。
 スタンプサービスを5000円から3000円に引下げた婦人衣料店。
 品揃え、価格では大型店には及ばないが、愛すべき「おやじとかあさん」のいる店たらんとする商業経営者、平成モザイク消費といわれている今、商店の智恵が問われる経営の一端をかいま見る思いの調査であった。


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 中小企業静岡(1997年09月号 No.526)