名前すらわからないのでは…
親組合である浜松織物卸商協同組合は、昭和四四年に発足。現在、織物卸売業者四五人を擁し、ゆかたの振興やデザイン開発、寝装関係・アパレル・テキスタイルなどにも力を注いでいる。
この組合に、平成七年九月「青年部会」が誕生した。
「それ以前は、若手同士のつながりは全くありませんでした。会合でたまたま同席しても、名前すら満足に思い出せない状況でしたね」(武藤青年部長)
これではいけない、と立ち上がったのが、組合事務局の池田専務だった。専務は、この組合の事務局に就く前、同じ織物関係の組合に長く席を置いていた。そしてその当時の経験から、青年部の必要性を十分認識していた。
「若者は、将来の産地振興の原動力です。その若い人達が相手の名前すらわからないのでは…。早速、理事長はじめ役員の方々に青年部の結成を進言しました」(組合:池田専務)
理事長の強い後押しもあり、浜松織物卸商協同組合青年部会の誕生が実現した。
参加意識の高揚を目指す
当初、各社から一人ずつ青年部会に参加するよう呼びかけたが、この呼びかけに応えたのは、組合員四五人中一六人。
その会員一人ひとりが会の事業に何らかのかたちで関わるようにと、「研修部会(研修会担当)」「販売促進部会(視察研修担当)」そして「交流部会(親睦会担当)」の三つの部会を設け、参加意識の高揚にも努めている。
“生まれたて”の青年部に
芽生えた仲間意識
今年度青年部会は、「繊維産業の新事業展開について」をテーマに、中央会の助成事業「青年部研究会」に取り組んだ。
この事業は、その名のとおり組合青年部を対象に、特定のテーマに基づいて研修会や視察等を行うもの。
「仲間意識を育てるためには、親睦会だけではダメ。何かメンバーのプラスになることを、みんなが協力してやっていくことが必要です」と、武藤部長がいうように、青年部会に設けられた研修部会が講演会を段取りし、販売促進部会が視察を計画するなど、全員が事業の準備段階から参加し成果を収めることができた。
武藤部長は振り返る。「この事業に取り組んだことで、青年部会にまとまりができたことが最大の収穫です。今では、顔を合わせてただ挨拶するだけの“仲”から、お互いにアドバイスできるような信頼関係を築くことができました」。
悩みは「活動時間」
課題は仲間づくり
青年部活動での悩みは? と水を向けると、即座に返ってきた答えが「活動時間」。メンバーはそれぞれの企業の中で、第一線で活躍している。いきおい青年部の活動時間は休日を利用することが多い。
また会員が十七人ということもあり、手のかかる事業では、会員一人ひとりの負担が大きいのも事実。会員拡大は、より活発に活動するための最優先の課題である。
「小規模な事業所では、若手はその企業の担い手。主旨は分っても、現実に参加するのは難しい」(武藤部長)
しかし一度の呼びかけで青年部会の門を閉ざしてしまったわけではない。事業を行うたびごとに、参加できない組合員にその様子を報告するなどして、今もねばり強く参加を呼びかけている。
そんな中、来年度(平成九年度)、活路開拓ビジョン調査事業リフレッシュ枠(※九ページを参照)に取り組むべく、中央会を通じて県や国に申請中である。
「まとまりのある青年部として、お互いに助け合いながら、ひとつの大きな目標に向かって進んでいければ…」(同)
この言葉には、ひとつの成果にとどまることなく、次のステップに大きく前進しようという“青年部らしい”意気込みが感じられた。
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