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役場の自慢話
歴史や伝統…。そして
“不思議”「相良町」
▲伝統的な民族行事「蛭ヶ谷の田遊び」
 相良町といえば“夏”の海と美しい白浜の続く海岸が印象的。しかしこの町では、春なお遠いこの季節に、古式ゆかしき祭礼「蛭ヶ谷の田遊び」が行われる。古い歴史とともに受け継がれてきた祭や古刹。そんな町の魅力について同町商工観光課の今村課長と、教育委員会の松下さんのお二人にお話を伺った。
 二月十一日に行われる「蛭ヶ谷の田遊び」について教えてください。
 「田遊びは、蛭ヶ谷地区に、鎌倉時代以前から伝えられてきたといわれている祭で、田起こしから収穫までを十六種類の舞で表しています。この中には、女性が農作業の合間に赤子をあやすシーンや“百姓武士”を表現した“四方切”という武術の稽古をする様など、当時の生活を忍ばせる舞が、篝火の焚かれた蛭児神社境内で深夜まで繰り広げられます」
 庁舎内に飾られた凧は、鮮やかで楽しい絵柄が多いですね。
 「一説では、相良の領主田沼意次に招かれた平賀源内が、この町に凧を伝えたといわれています。 毎年五月三日から五日に、相良海岸で保存会のメンバーが紅白に分かれ、ビードロ糸と呼ばれるガラスの粉を付けた糸を絡めて切り合う勇壮な相良凧合戦が行われます。また三年前から、五月下旬に各区や子供会などが中心になって“町民凧揚げ大会”も開催されています」
▲大興寺の「子生まれ石」

 ところで大興寺には“子生まれ石”という珍しい墓標があるそうですね。
 「大興寺は、一四一四年に開創された歴史ある寺です。ここに“子生まれ石”と呼ばれる代々の住職の墓標が並んでいます。この石には、住職が亡くなる前に裏山の沢の壁から石が生まれ落ちるという不思議な言い伝えがあるんです」
 このほか町が海水浴客で賑わう八月には大江八幡宮で、九月には飯津佐和乃神社で船若と呼ばれる青年達が、二つの模型船を担いで町を練る「御船神事」が行われる。
 一種独特なムード漂う祭や古刹からは、相良町の奥の深い歴史を感じることができる。
 

中小企業静岡(1997年 2月号 No.519)