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・・・経営 経済
「学卒採用プチバブル到来か?」
 
採用の世界にも新しい発想を!
(株)大和シンク・エージェンシー
取締役社長 石 橋 達 也


 「超氷河期」などといわれてきた新規学卒者の雇用動向に対して、ハローワークをはじめいろいろな機関が雇用促進策を講じている。
 静岡に次いで、志太地区でも焼津ハローワーク主催の「産学交流会」が平成九年一月十七日(金)に焼津平安閣で開催される。
 就職希望学生を抱える学校(高校・専門・短大・大学)の就職進路指導の先生と、採用計画のある企業人事担当者とが率直な意見を交換する会合で、ハローワークのご担当官が打ち合わせに当社に見えられた。
 学生達にとって例年のとおりの厳しさが予想されているとのこと。
 厳しいわけで、就職を希望しながら終戦直後の就職難の時代と異なり、自分の希望する会社や職場があれば就職するが、なければジックリと探すといった鷹揚さがその背景にある。親にしてみても「そんな厳しい会社なら……」といった「甘やかし」の気持ちを持っている。昨今の社会世相を見れば、それは「怪しからん」といっても一般論。例えば自分の娘を当事者として考えてみると、そこまでいえる親が何人あるだろうか? それほど総論賛成、各論反対。自己中心的なのは、もとはといえば「平和・豊潤」の時代に慣染まっているからであろう。
 採用後に仕事の意義から教育しなくてはならない会社は大変である。 その学卒採用戦線も来年あたりはだいぶ様相が変わり始めるのではなかろうか。
 決定的な要素は、二二歳の人口が今年をピークに今後減少の一途を辿る年齢別人口構造になっていることである。もう今年ほど多い大学卒業生は理屈のうえでは出てこないということである。
 時代の流れは早く、特にデジタル経営の時代は管理部門から現場部門に至るまでコンピュータに馴染まないと効率的な仕事をこなせない。
 どこの職場にも見られる如く、若い年代層社員に期待する部分は膨れてきている。今まで、その採用に消極的であった最大の理由は、人件費のリストラであった。
 社員数と支払い形態の「年功制」が減速経済下での新規学卒社員採用を躊躇させていたともいえる。
 ここへきて、立ち直りの早い会社ほどその「リストラ」は完了した。賃金体系の改定も済んだ。若い労働力に対するニーズが顕在化してきている。
 経営環境の変化に対する対応の鈍い会社ほど、未だ「買い手市場」「まだまだ」と思っていようが、それはまだ経営刷新策が終わっていない、あるいは手をつけていないことを物語っているのである。
 かつてのバブル時代のような「売り手市場」に一気に逆戻りするとは思えないが、その傾向が出始めてはいる。名付けて「プチバブル時代」が学卒採用の世界で近づきかけていることは確かであろう。
 だから、来年度の「就職協定」の存続も危うい。採用方法も多様化してきている。「通年採用」「秋の定期採用」「インターネット募集と応募」。テストに当たっては「プレゼンテーション面接」「グループディスカッション」など、従来の学校成績、筆記、面接といった単純パターンでない採用方法が採られ出している。
 採用の世界にも新しい発想を。

中小企業静岡(1997年 1月号 No.518)