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・・・会計 税務
「会社から受ける表彰の課税関係」
内容によってさまざまな処理方法が…
税理士 
日 野 藤 司


 会社から従業員が表彰を受け、同時に金品を受け取ることがあると思います。この場合、原則として給与として課税されることとなるのですが、内容によって他の所得になったり非課税となることがあります。

一、提案者に対する賞金

 事務もしくは作業の合理化、製品の改善または経費の節約などに寄与する工夫、考案など(特許または実用新案登録もしくは意匠登録を受けるに至らないものに限ります)をした人に支払う報奨金については、その工夫、考案などがその人の通常の職務の範囲内の行為である場合には給与所得、その他の場合には一時所得(継続的に支払われるものは雑所得)となります。
 この場合「通常の職務の範囲内の行為」とは、事務や作業の合理化などに寄与する工夫、考案などを通常の職務としている人が行う工夫、考案などをいいます。
 例えば、経理課社員が「伝票及び帳簿様式の簡素合理化に関する提案」により表彰を受けた場合、経理課社員の通常の職務は記帳事務であって、工夫、考案などではありませんので、その提案はその社員の職務に関係するものですが、通常の職務の範囲内の行為とはいえませんので、一時所得となります。

二、勤務成績の優良な人に対する表彰金
 無事故、無欠勤、業績優良など勤務成績が優良であるなどの理由で支給する表彰金は、役員または使用人の通常の職務の範囲内の行為に対する対価であると考えられますので、表彰を受ける人に対して賞与の性格を有する給与を支給したものとして給与所得になります。

三、永年勤続表彰
 永年勤続した役員や使用人の表彰にあたり、その記念として旅行、観劇等に招待し、または記念品(現物に変えて支給する金銭は含みません)を支給することにより、その役員や使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のすべてを満たしているものは、課税しなくてよいことになっています。
(1)その利益の額が、その役員または使用人の勤務期間等に照らし、社会通念上相当と認められること
(2)その表彰が、おおむね十年以上勤務した人を対象とし、かつ、二回以上表彰を受ける人については、おおむね五年以上の間隔をおいて行われるものであること
 なお、永年勤続者に支給する記念品などで非課税とされるものの中には金銭は含まれていませんので、記念品にかえて金銭を支給する場合には、給与として課税しなければなりません。この金銭には、株券や商品券のように換価が容易で、その実質が金銭と同様に扱われるものも含みます。
 例えば、旅行クーポン券を支給した場合には、永年勤続者の表彰にあたり旅行に招待したことを明らかにするために、旅行クーポン券を支給した後、一定期間内(おおむね一年以内)に旅行を実施させることとし、旅行実施報告書(旅行日、旅行先、旅行社への支払額等の必要事項を記載したもの)や旅行先等を確認できる資料を徴しておく必要があります。

中小企業静岡(1997年 1月号 No.518)