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視点・指導員の現場から

中小企業に合った退職金制度とは

中央会では退職金共済制度を扱っている関係上、経営者の方から退職金の相場についてご質問を受けることがあります。

そこで今回は、中小企業の退職金制度について考えてみたいと思います。

退職金の法的な根拠

退職金は支払われるのが当然だと思われがちですが、法律で支払が義務付けられているわけではありません。

ただし、就業規則や退職金規程で、支給することや支給条件が定められている場合は、これに従って支払わなければなりません。

また、退職金制度がない企業でも、過去の退職者に退職金を支払っている慣例があると、労働者の退職金請求が認められることがあ りますので注意が必要です。

相場はどのくらい?

退職金の相場という最初のご質問に戻りますが、法的には支払いが義務付けられていませんので、本来相場というものはなく、経営者の考え方や企業の事情で自由に決めればいいというのが正論です。

しかしそれでは答えになりませんので、ご質問を受けた時には、公的機関が調査したモデル退職金のデータをお知らせしています。

平成20年の東京都の調査によると、高校卒で定年まで勤めた場合のモデル退職金は約1380万円とのこと。大企業や公務員に比べると少ないものの、中小企業にとってこれだけの金額を一度に支払うのは容易なことではありません。

計画的な準備が求められます。

「確定給付型」から「確定拠出型」へ

企業が設ける退職金制度には様々なものがありますが、大別すると「確定給付型」と「確定拠出型」の2種類に分けられます。

「確定給付型」は基本給や勤続年数などの条件に応じて、自動的に退職金額が決まる制度。「確定拠出型」は企業が拠出した金額とそ の運用実績から事後的に退職金額が定まる制度です。

それぞれ一長一短ありますが、経営リスクという点から見ると、企業の支払能力に関係なく退職金額が決まる「確定給付型」は経営 を圧迫する恐れがあります。

最も一般的な退職金制度は「退職時の基本給×勤続年数に応じた支給倍率」で退職金額を算出する「基本給連動型」です。これも確 定給付型の一つですが、基本給の上昇に伴って退職金額も上がるため、企業の支払能力を超えた金額になってしまうかもしれません。

そのようなことから、これから退職金制度を導入する場合は「確定拠出型」が好ましいと言われています。

主な確定拠出型制度としては、中央会や商工会議所が行う特定退職金共済制度や勤労者退職金共済機構が行う中小企業退職金共済制 度、日本版401Kとも言われる確定拠出年金などが挙げられます。

いずれも企業は毎月の拠出額(掛金)だけを約束し、最終的な退職金額を約束するものではありませんので、企業にとってはリスク が小さくなります。

PRになってしまいますが、中央会でも特定退職金共済制度を扱っています。これから退職金制度の導入を考えておられるようでし たら、お気軽にお問い合わせ下さい。(太田)