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「裁判員制度」セミナー開催
静岡県中央会
平成21年5月、「裁判員制度」スタート

静岡県中央会は11月6日、静岡市産学交流センターで「中小企業のための裁判員制度セミナー」を開催した。

同セミナーは、来年5月に迫った裁判員制度スタートを前に、制度の概要や中小企業に与える影響、その対応策などについて理解を深めてらおうと企画したもので、組合役職員や組合員企業の総務・労務担当者ら70人が出席。講師の説明を真剣に聞き入った。

はじめに、「光市母子殺害事件」、「仙台市筋弛緩剤点滴事件」などの重大裁判を担当し、今年7月に静岡地方検察庁のトップに就任した北村道夫検事正は、
「統計上、犯罪の総数は減少傾向にあるが、無差別殺人や振り込め詐欺など、相手の顔の見えない犯罪=非対面型犯罪が増えており、体感治安の悪化は顕著だ」と現在の我が国の治安状況に触れた後、
「法が守ってくれるという受身の姿勢ではなく、自ら安全・安心な暮らしを守るという意識が犯罪の抑止力となる。多くの国民にとって司法は遠い存在だが、裁判員制度への参加を通じ国民の司法への理解が進み、法を身近に感じることが期待できる」と裁判員制度の導入の背景を語った。

講師の北村検事正、関根広報官、伊藤社労士(写真左から)

続いて、静岡地方検察庁 関根弘二検察広報官は、
「裁判員制度の対象になるのは殺人や傷害致死、危険運転致死など重大な刑事事件。昨年度、全国では2600件あまり、本県では58件がこれに該当する。本県で裁判員等に選ばれる確率は、約6720人に1人の割合となる」と具体的な数字を挙げ説明。

「裁判員の氏名等は一切公開されず、法律的な判断は裁判官が行う。裁判の7割は3日以内に終了するなど、裁判員の負担を軽減する措置もとっている」と参加しやすい仕組みであることを強調した。

伊藤彰彦社会保険労務士は、裁判員制度と就業規則の関係について、
「裁判員は“公の職務”に該当し、労基法に定める“公民権行使の保障”の適用対象となる。現行の就業規則にこの規定がある場合は、裁判員の職務について特に休暇制度を設けないケースが多いが、就業規則に定めがない企業は、新たに裁判員制度を盛り込んだ規定を定めることが望ましい」とした上で、
「有給にするか無給にするかは自由だが、国から日当も支給されるので、それらも含め裁判員制度に参加しやすい環境をつくるべきだ」と触れた。

以上の説明の後、参加者と講師の間で、「守秘義務の範囲」、「裁判員を辞退するための事由」、「具体的な休暇の設け方」などに関する活発な質疑応答が交わされた。