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シリーズ「くみあい百景」

指定管理者制度に対応
78ヶ所の公園管理を受託

焼津環境緑化事業協同組合

住所:〒425-0022 焼津市本町二丁目13番29号
理事長:村田昌弘
組合員:8人
設立:平成18年8月
TEL:054-902-1437
FAX:054-628-7774
URL:http://www.geocities.jp/ykrj2007

 

官から民に

公園施設の申込み受付も行う組合事務所。

“民間にできることは民間に、地方にできることは地方に…”。

国民の圧倒的な支持を受けて誕生した小泉元首相の平成13年5月7日、臨時国会における所信表明演説の一節である。

元首相は、「構造改革なくして日本の再生と発展はない」という強い信念のもと、行政における構造改革の推進を断言。この方針に基づき郵政や道路公団等の民営化が、次々に実行されていった。

15年9月の改正地方自治法の施行にともない創設された、「指定管理者制度」も同様である。

これまで、教育・文化施設、公園など、「公の施設」の管理・運営は、地方公共団体の出資法人や公共的団体等に限定されていた。それが、この法改正により、民間事業者など地方公共団体が指定する者、すなわち、「指定管理者」に転換されることになった。

同制度は、多様化する住民ニーズに、より効果的・効率的に対応するため、民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的にしている。

78の公園管理を受託

当組合は、焼津市の造園工事業者で、18年8月に設立された。組合員8社は、市の公園植栽維持管理の指名業者で、焼津市建設工業会造園部会にも所属する気心の知れたメンバーである。

「造園業界は、公共工事の抑制、民間工事の縮小、発注形態の変化など非常に厳しい経営環境にある。公共施設の管理が新制度に移行するのは大きなビジネスチャンス。業界の課題や多様な顧客ニーズの対応にも組織化は不可欠」。村田理事長は、その意義を語る。

同年9月、市は、市内にある都市公園78ヶ所の、指定管理者募集に着手した。

「組合設立と指定管理者申請が、ほぼ同時期と重なり、事務作業に追われる日々が続いた。全員で役割分担したことで、短期間で2つの申請を行うことができた」と理事長は、組合員の一体感を強調。

同年11月、厳しい選定基準をクリアし、指定管理者候補者の決定通知書を受ける。翌年2月、基本協定書の締結に至った。

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組合知名度のアップ

すべての公園に設置されている組合名入りの看板。

19年4月1日、市の募集要項に基づき、組合が作成した事業計画書に沿って、指定管理者として
の業務がスタートした。

主な業務は、1.植物管理(植栽、剪定、病害虫防除等)、2.遊具などの施設管理(保守・点検、修繕、利用受付等)、3.トイレなどの清掃管理(施設清掃、備品補充等)などである。

組合は、管理するすべての公園に、組合名と電話番号入りの看板を設置し、市民に向け管理者の存在を明確化させている。

「今までの実績や地域性を考慮し、組合員が担当する公園の割り振りを決めている。限られた予算であるが、経営の安定に繋がっている」と理事長は、受託効果を述べる。

水道、電気、浄化槽などの専門業務は、専門業者と連携を結び対応している。

移行当初、市民の問合せは市担当課に集中していたが、看板の設置、ホームページの立ち上げなど組合の知名度が上昇するにつれ、今では、ほとんどの問合せが組合に直接届くようになった。

再指名に向けて

「市民のために安全で快適な公園づくりを目指したい」と村田理事長。

組合が管理する芝生の美しい瀬戸川緑地。

指定管理者の受託から1年8ヶ月が経過。受託事業は順調に推移しているが、トイレの窓ガラス損壊や異物の詰め込みなど、悪意による施設損壊が相次ぎ、予想外の出費が増大している。

「パトロールの強化、警察との連携、市民からの情報収集などで対応しているが、今後の検討課題である」と理事長は、表情を曇らす。

指定管理者としての指定期間は、24年3月31日までの5年間。期間終了後は、再指名に向けた手続きが必要となる。

組合は、利用者アンケートを実施し満足度の向上に努めるほか、管理業務の均一化、大井川町との合併など、再指名に向けた課題克服に取り組んでいる。

「公園は、人・植物・季節・地域などと触れ合うことのできる身近なコミュニティである。その役割・機能を充分に理解し、市民のために安全で快適な公園づくりを目指していきたい」。県内初、指定管理者の受託組合の理事長として、リーダーシップは強力である。