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クローズアップインタビュー

2011年7月24日、アナログテレビ放送が終了
『Xデー』に向け、陣頭指揮

静岡県電機商業組合
片瀬勝理事長

「『Xデー』まで1000日をきった。まだ3年ある、じゃなくて、もう3年しかない」。

2011年7月24日、現在のアナログ放送が完全に終了し、地上デジタル(地デジ)放送に移行するその日を『Xデー』と表現する。

この日を境に、従来のアナログ放送のみに対応するテレビでは、チューナーを取り付けるなどしなければ、テレビ放送を視聴できなくなる。

国の調査では、アナログ放送が終了することを知っている人は、9割を超えるが、『Xデー』がいつかを知っているのは6割、地デジ対応受信機器の普及率は4割台とまだまだ低い。

「このままでは3年後に迫る『Xデー』前後には、買い替えや問合わせが殺到することが予想される。現場は大混乱しますよ」と嘆息する。

混乱を未然に防ごうと、組合ではこの4月、消費者からの地デジに関する相談を幅広く受ける窓口『デジタル110番』を開設した。月に十数件の相談が寄せられ、組合員が直接訪問し、きめ細かいサービスを行う。そこから新たなビジネスチャンスが生まれることも少なくない。

「地デジ対応のテレビを買ってきたからといって、すぐに観ることができるわけではない。適正な受信施工や設定作業、アンテナの設置が必要になる場合もあります。快適にテレビを見られるよう組合を挙げて取り組んでいます。『110番』登録店は、のぼり旗が目印。ぜひお気軽にご相談頂きたい」と力がこもる。

昭和43年、家電販売店を創業し、すぐに組合に加入。役員歴は四半世紀を超える。組合加入時、1500人を超えていた組合員は、現在670人。その多くは家族経営の『まちの電気屋』だ。

後継者難からやむなく廃業する組合員も多い。店主の高齢化も深刻だ。

「年をとると大型、重量商品の搬入やアンテナ設置などの作業がこたえる。それなら近くの組合員同士が協力し合い、共同で作業を行えばいい。それが組合のあるべき姿でしょう」。協働作業を新たな組合事業に育てるべく、仕組みづくりにも力を注ぐ。

高齢化が急速に進み、『老老世帯』や高齢独居世帯が増加する中、地域に根ざした『まちの電気屋』の存在は欠かせない。

「お年寄りには蛍光灯1本交換するだけでも難事。商品の売りっ放しでなく、例えばその交換を通して、お客様と触れ合うことが大切。そこから本当の商売がはじまる。価格では大型量販店に敵わないかもしれないが、技術とサービスでは絶対にひけはとりませんよ」と自信に溢れる。

趣味を問うと、「商売一筋だよ」と即答。根っからの『商売人』のようだ。