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シリーズ「くみあい百景」

“循環型社会”の実現に向けて 生ごみリサイクル化を提言

御殿場市一般廃棄物処理事業協同組合

住所:〒412-0006 御殿場市中畑531番地の91
理事長:田代孝男
組合員:8人
設立:平成5年3月
TEL:0550-89-6175
FAX:0550-88-1408

 

意識改革が必要

我々が、日常生活を過ごしていく上で、ごみ問題を避けてとおることはできない。ごみを大きく分類すると、一般家庭やオフィスなどから排出される「一般廃棄物」と、工場や建設現場などから排出される「産業廃棄物」に分かれる。環境省の調査によると、平成17年度における一般廃棄物の総排出量は、5,273万トンで、東京ドームの約142杯分にあたる。国民1人当たり1日に換算すると、1,131グラムの排出量になる。ダイオキシン問題などで、環境に対する国民の意識は向上してきたものの、まだまだ高い数字を示している。

今、我々一人ひとりに、廃棄物の抑制や循環型社会づくりに向け、意識と行動を変えていくことが、強く求められるようになっている。

組合設立で業界が結束

収集運搬作業で活躍する機械式ごみ収集車(パッカー車)。

当組合は、御殿場市で廃棄物処理事業に携わる事業者が、市の一般廃棄物の収集運搬業務を、共同受注するために、平成5年3月に設立された。

「組合設立にあたり、2年前より準備組合を組織した。御殿場市では、一般家庭から排出される一般廃棄物の収集運搬業務は、指名競争入札で民間の許可業者が行っている。これまで、競争相手であった者同士が、共通の目標に向け、行動をともにすることで、互いの理解を一層深めることができた。また、法人化で業界が一つに結束したことで、刻々と変わる廃棄物対策に、一丸となって取り組むための、大きな一歩を踏み出すことができた」と田代理事長は、業界が結束した意義を力説する。

組合設立の効果は、すぐに表れた。小中学校や公園など、市の公共施設から排出される一般廃棄物の収集運搬業務の一部が、組合へ委託されることになった。

「設立後、数ヶ月で組合への委託が決まったことは、組合員のこれまでの真摯な事業実績が、高く評価された結果である。安定的な受注が確保でき、市の信用を得たことは大きな財産。これからも地域のために、協力を惜しまず活動していきたい」。

循環型社会の実現に向けて

わが国では、「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」を基調とする経済社会が、今なお継続している。その結果、多量の廃棄物が排出され、その種類も多様化している。国の廃棄物行政も、幾度となく見直しが行われた。平成13年、循環型社会の形成を目指し「循環型社会形成推進基本法」が施行され、廃棄物の「発生抑制(リデュース)」・「再使用(リユース)」・「再資源化(リサイクル)」という3Rの基本的考えが示され、行政・事業者・国民の責務が定められた。

組合は、自らリーダーシップを発揮して、平成18年8月、「御殿場市の一般廃棄物処理の新たな対応研究会」を立ち上げた。

これは官民が一体となり、それぞれの立場で、廃棄物の排出抑制や適正な処理などについて、検討していくもので、市環境経済部や市民団体などの強い協力があった。

「現在、御殿場市の一般廃棄物は、全国に例をみない規模で建設された“御殿場・小山RDFセンター” で処理されている。ここでは、可燃ごみを固形燃料(RDF)に加工し再利用する処理方式を採っている。しかし、多くの課題を抱えている。行政側も、ごみの減量化や処理方法を模索しており、官民一体で取り組む絶好の時期にあった」。理事長は、研究会立上げの理由を語る。

生ごみリサイクル化を提言

「官民一体の協力で循環型社会を実現したい」と元国鉄職員の田代孝男理事長。
組合が受注している御殿場市桜公園。後方に富士山がそびえる。

組合は、昨年度、中央会の助成事業を利用し、研究会と一緒になり、御殿場市の一般廃棄物処理について、検討を重ねてきた。

「専門家の意見を聞くとともに、徳島県上勝町などの先進地域を視察した。循環型社会の実現には、市民・事業者に、行政を含めた3者が、従来のスタイルを見直し、協力していくシステムづくりに取り組まなければ、効果は少ない」。理事長は、官民一体の大切さを説く。

平成19年1月、これまでの検討結果をもとに、市民・事業者から行政に対する要望として、「生ごみリサイクル化に向けての提言書」を取りまとめ、市に提出した。

「御殿場市は、富士山の東麗に位置し、雄大な自然に囲まれた緑豊かなまちである。この美しい景観を後世に残していくためにも、提言書の実現に向け、これまでの経験を活かし、努力していくことが、我々事業者に与えられた使命である」と理事長は強い決意を語る。

循環型社会の実現は、決して平坦ではない。国鉄職員から廃棄物事業に転身し、20年が経った。田代理事長への期待は大きい。