google

富士の叫び

“地域資源活用プログラム”の活用を

通常国会もいよいよ終盤を迎えた。重要法案の成立に向け会期延長が決定し、与野党の攻防も激しさを増している。こうした中、マスコミを賑わす事象が毎日報道され、企業倫理やモラルを問われる事件が続出している。市場原理主義一辺倒、拝金主義が持てはやされ、弱者を顧みない精神的な荒廃を目の当たりにし、最近えもいわれぬ不安感に包まれることがある。

さて、地域や企業間格差の解消が大きな課題となっている中、国では19年度の中小企業支援計画を策定した。景気は全体として回復を続けているが、多くの中小企業ではそれを実感するには程遠く、地域・業種によっても大きなバラツキがあるとの状況認識を踏まえ、3つの重点施策を通じて、地域・中小企業の活性化を図ることとしている。

ひとつ目は地域中小企業の活性化(地域の応援)であり、2つ目は中小企業の発展・再生の支援(企業の応援)、3つ目は起業・再起業促進や中小企業で働く人材の支援(ヒトの応援)を図ることである。

その目玉事業として、「地域資源活用プログラム」が創設された。域外市場を狙った新商品等の開発・事業化や地域資源を活用した新たな取組みの掘り起こし、ブランド化など地域資源の価値向上への取組みを強力に支援し、自立的に発展できる地域中小企業を育てることを目指すというものだ。

ものづくりで有名な東京都大田区では、一時9000社を超えた中小企業群が昨今では5000社弱に激減し、今後も1000社ほどの減少が予想されるという。固有の技術力・集積力で支えてきたものづくりの裾野が崩れれば、頂上も崩れかねない。勝者は常に大企業、という一人勝ちはそう永くは続くまい。

本県は、愛知県、神奈川県に次ぎ製造品出荷額全国3位を誇るものづくり県であると同時に、農林水産業や観光業など多様な産業が地域ごとに集積し、多くの地域資源に恵まれた県でもある。

これら豊富な地域資源と支援施策を充分に活用し、地域と中小企業の活性化に結びつけるよう、ともに手を携え、「協同」して歩を進めていきたい。

静岡県中小企業団体中央会・会長井上 光一