特 集 
 多士済済 
 視 点 
 ネットワーク 
 編集室便り 



特 集

製品価値を高める
中小企業のブランド戦略

 優れた技術やデザイン力をいかに伝え、市場浸透を図るか。今や差別化は経営者の重要課題となった。そこで、本誌は2回にわたり差別化戦略の一つ、「中小企業のブランド化」を特集する。
「ブランドとは?」「それって重要?」。そうした素朴な疑問からその効果的な進め方まで、組合や企業の疑問に2回シリーズで答えていく。




「ブランド力」は、商業者のみならず中小製造業にとっても重要な戦略。
顧客のリピータ化や価格競争からの離脱に効果を上げる。
ブランド要素は、表示やデザインのほか「技術」や「提案力」等も含む。
ブランド戦略は、ラッピング価値と本質価値の双方で効果を生む。

 いま、改めてブランド化が見直されている。それは価格競争を避けるための対抗策であったり、中小企業にあっては大手チャンネルにのる大量製品との差別化であったりする。また、地産地消を推進する上でも有効な手段であるし、いま盛んに脚光をあびている経営革新や新連携による市場化も、ブランド戦略が有効といえそうだ。
 こうした取り組みは企業単独でも可能であるが、中小企業にとっては組合事業として実施することで、より高い効果を上げている例も少なくない。
 そこで本誌は、中小企業のブランド化を二回シリーズで取り上げる。今月号はブランド化の意義や効果、その進め方等について、次号は、県内の中小企業や組合の取り組み等について紹介していく。
 なお、本稿は関東経済産業局が今年三月にまとめた「中小製造業の『ブランド戦略』に関する実態調査」結果をもとに編集した。

「ブランド」って何?

 一口に「ブランド」といっても、個々人でそのイメージは異なる。例えば、ある商品にある命名をし、あるいはマークを貼付し、それを商標化したものを「ブランド」という人がいるかもしれない(なぜならば、商標登録すれば、当該商標は排他的に使用可能だからである)。また、単に商標程度では足りず、何らかの実質的「良さ」をもって「ブランド」とする人もいるだろう。
 さらに、SONYやCHANEL® などのように、相当以上に知られなければ「ブランド」ではないとする人もいるかもしれない。このように「ブランド」という言葉は、多様な意味で使われるが、本稿では次のように定義する。



中小企業静岡(2005年11月号No.624)