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ポジティブアクションで男女格差是正を

 我が国は、世界で最も少子化の進んだ国の一つとなり、出生率は人口を維持するのに必要な水準を割り込んだまま下がり続けている。
 と同時に、高齢化の進展や核家族化など労働者の家庭を取り巻く環境も変化してきており、育児や家族介護の負担は、労働者が就業を継続していく上で深刻な障壁となっている。
 こうした中で、子育てや家族介護を積極的に支援しようという企業、すなわち、「ファミリーフレンドリー企業」の表彰制度などが厚生労働省によって始められた。いわゆる仕事と家庭の両立は、長い目でみて人材確保やモラール向上、欠勤の減少など、企業にもメリットをもたらすものであることを訴えている。
 さて、本県には一六七万人の従業者が働いているが、そのうち女性は七一万人で四三%を占めている。この数字が示すように、主に育児を担当する女性が十分に能力を発揮できる抜本的な人事労務管理のあり方が、いま企業に問われている。
 そのヒントとなるのが、ポジティブアクションという考え方である。私は一昨年、静岡労働局が主管する「静岡女性の活躍推進協議会」に参画し、男女労働者の間に生じている差別を是正し意欲や能力ある女性を積極的に登用する、ポジティブアクションの推進の一端を担わせて頂いた。
 その中で、女性の評価についてナルホドという発言があった。それは ―確かに、女性特有の細やかな気配りや視点などは、男性の「感性」とは異なるものとして一目置かれる。しかし、これを「女性の感性」と決め込むのは間違いで、その女性個人の「能力」として認識すべき― という指摘だ。つまり、評価する側の意識改革も必要である。
 いずれにせよ、多様な働き方を提案し、人や環境に優しい職場を提供していく企業こそが、国民の支持を得て大きく発展していく時代が近い将来、必ずや到来する。我々中小企業も、特に女性の能力発揮をテーマに、自らの職場のあり方を改めて問い直す時期にきている。

静岡県中小企業団体中央会・会長



中小企業静岡(2005年11月号No.624)