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 編集室便り 



 指導員の現場から
 役員退職金や緊急資金
 保険の活用で会社を守る 




業況回復の今こそ検討

 私が所属する業務部では、退職金や経営者年金など各種共済制度や保険商品の推進を通じて、様々な経営者から企業経営に関する率直なお話しを伺う機会を頂戴している。
 景気は回復基調の兆しが見られているが、中小企業の経営環境は依然として厳しい。確かに利益計上はできたものの、その実情は決して楽観できないというのが多くの本音であろう。 
 日頃、色々な経営相談を受けるのだが、特に共済制度の推進を担当する私としては、「中小企業にとってベストな選択は何か」を考え、ニーズにあった金融商品等のご提案をし、喜んでいただくことにやりがいを感じている。
 激変する経営環境の中で、今後企業が持続的に発展していくためには何が必要か。共済制度等の推進を通じて、現場で感じたままを述べさせていただく。
 一つ目は、安定した財務体質の維持・強化に向けた保険の有効活用である。中小企業が、中長期的に事業資金と自主財源を確保するうえで、また経営者の退職金の財源づくりを行う上で、意外に保険の活用が効果的である。
 例えば、中期的には逓増定期、長期的には長期傷害保険などである。いずれも、一定の要件の中で費用計上が可能で、役員などの退職慰労金の確保に役立つほか、保険に付与されている解約返戻金や貸付制度を有効利用することで、設備投資や不測の事態に備えることができる。一部の企業で業況に明るさが見え始めてきた今こそ、検討に値する保険制度である。
 また、従業員の退職金の準備も企業規模にかかわりなく重要な問題だ。
 ある中小企業では、永年勤続者が近く退職することになった。そこで、社長の奥様が就業規則を確認したところ予想をはるかに超える金額で、調達可能資金ではとても足りないことがわかった。
 なんとか分割支給で事なきを得たが、高度経済成長時に作成した規定が思わぬ形で経営者に冷や汗を掻かせた事例だ。
 いずれにせよ、本会では、各種共済・保険を含め、労務問題のご相談に応じているので、気軽にお声かけをいただければと思う。


関心高まる新会社法

 ついで二点目。共済制度とは直接関係ないが、最近、お客様の間で新会社法への関心が高まっている。来春の施行を間近に控えてのことだが、中でも「有限会社制度がなくなるというけど、当のわが社はどうなるの?」といった質問が増えてきた。その都度お答えしているのだが、この場で改めて説明させていただく。
 結論を先に言えば、「有限会社の商号をそのまま使えますよ」が正解だ。少し説明を加えると、新法施行後は、有限会社制度が廃止され株式会社制度に一本化される。ただし、既存の有限会社には「特例有限会社制度」が適用され、引き続き“有限”の商号が認められる。これまでの規律を維持するための経過措置がとられたわけだが、施行後は有限会社の新設はできないので注意が必要だ。
(藪崎)



中小企業静岡(2005年11月号No.624)