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特集

静岡県の労働事情
20年度 中小企業労働事情実態調査結果の速報

高年齢者の雇用について

高年齢者に「技術・技能の継承」を期待

定年年齢は、「60歳」としている事業所が全体の65.8%と最も多く、次いで「65歳以上」の15.3%、「定年は定めていない」の13.7%の順となっている。

「60歳」とする事業所は、規模が大きくなるほど多くなり、「1〜9人」の36.6%に対し、「100〜300人」では87.7%と9割近くにのぼる。一方、「定年は定めていない」は「1〜9人」では40.6%だが、「100〜300人」では0%と、規模が大きくなるほど少なくなる。

業種別では、「60歳」が「製造業」で72.6%であるのに対し、「非製造業」は59.6%、「定年は定めていない」は「製造業」の6.3%に対し、「非製造業」では20.4%と、業種により定年年齢に違いがある。

定年後の継続雇用制度については、「再雇用制度のみを導入」している事業所が51.1%と最も多く、「勤務延長・再雇用制度両方を導入」(20.7%)、「導入していない」(17.0%)が続く。

高齢者雇用にあたっての課題(複数回答) は、「賃金体系や水準の見直し」が56.0%、次いで「業務や作業内容の見直し」(34.7%)、「心身の健康面の配慮」(32.4%)の順になっている(図表9)。

図表9、図表10

一方、高年齢者に期待すること(複数回答)は、「技術・技能の継承」(56.0%)、「技術・技能を活かす」(40.5%)、「経験・人脈を活かす」(37.8%)が上位の理由(図表10)。

規模別では、規模が大きくなるほど「技術・技能を活かす」、「技術・技能を承継する」の割合が高くなり、「100〜300人」では前者が49.3%と半数近く、後者が63.5%と6割以上に上っている。一方、「1〜9人」では「今までと変わらない仕事をする」の割合が他の規模と比べて高い。

業種別では、「製造業」で「技術・技能を承継する」が65.5%と6割を超えており、「非製造業」の46.9%を大きく上回った。一方、「経験・人脈を活かす」は「製造業」では26.0%であるのに対し、「非製造業」では49.3%と半数近くの事業所が回答しており、業種によって高年齢者に対する期待が異なる結果となった。

最低賃金引き上げの影響について

最賃引き上げ対策は、「生産性向上の努力」

図表11最低賃金引き上げによって経営上どの程度マイナスの影響があったかは、「ほとんどない」が50.2%で最も多く、次いで「全くない」の20.5%、「多少ある」の14.7%の順となっている。

業種別にみると、「運輸業」で「大いにある」と回答する事業所が12.5%と前年調査(32.1%)に比べると減っているものの、全業種の中で最も多い。その他、「食料品」、「繊維工業」、「木材・木製品」など「製造業」で「大いにある」、「多少ある」の回答が多くなっている。

「大いにある」または「多少ある」と回答した事業所の最低賃金引き上げへの対策(複数回答)でもっとも多い回答は、「生産性向上の努力をした」(42.3%)で、次いで「労働時間を短くした」、「特に何もしていない」(ともに24.4%)の順となっている(図表11)。

業種別では、「製造業」で「生産性向上の努力をした」が48.9%と約半数を占めたが、「非製造業」では33.3%にとどまっている。一方、「労働時間を短くした」は、「製造業」の17.8%に対し、「非製造業」では33.3%となっており、業種により対策に偏りがみられた。