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視点・指導員の現場から

「担当者」に求められる資質とは

「経営革新」とは

近年、中小企業支援施策の一環として「経営革新支援事業」を、静岡県を中心に各中小企業支援機関が中小企業者と一体となって取り組んでいる。

「経営革新」とは、中小企業における既存事業に加え、新たなチャレンジを計画書として提出し、県の承認を受ける事によって融資の特例や事業費補助等の支援が受けられる施策であり、中央会関係においても、既に数多くの中小企業が経営革新計画の承認を受けている。

新たな事業活動にチャレンジ

昨年度、静岡市内のある組合では、組合員が新たなチャレンジをする素材作りとしての研修会を開催した。

内容は、種類別の加工技術取得のための実技研修である。

組合員各社は日頃取り組んでいる加工技術に材質別・形状別・規格別等の加工方法があることは認識していても、過去に取り組んだことのない加工を行う機会は、なかなか訪れなかった。

そこで、熟練技能士を講師に招き、これまでに経験のない加工技術を学んだ。

基本的技術は、これまでの保有技術の応用ということもあって比較的容易に技術取得ができた。その結果、研修会に参加した組合員の中には、新たな分野の受注確保に向けた経営革新計画を立案しようとする企業が現れている。

このように「経営革新」は、業種転換や創業をする事を求めているのではなく、これまでの保有技術等を活用した新たな生産方法や販売方法・新商品開発・役務の提供といった事業活動によるチャレンジが対象となっている。

もう1つの課題

経営革新事業のみに関する事項ではなく全てのことで言えることなのだが、もう1つの課題とは、こうした施策を実行する担当者の資質である。

担当者とは、当該企業の担当者であったり、組合事務局であったり、受付窓口である支援団体の職員だったりする。

前述の組合研修会では、組合員企業の実情を把握し、開催場所の確保や熟練技能士の選択、研修内容・実習材料準備等、研修を有効なものにするための数多くの課題をクリアせねばならず、組合員のために惜しみない努力ができる組合事務局がいたから研修会が開催でき、組合員にチャンスを与えることができたのである。

更に、窓口の職員であっても、申請された内容が無事に承認されるよう、情報収集と内容理解に努め、親身になっての対応が必要と思われる。

特に、こうした事案を進める上で、担当職員からの情報提供内容や事業の進め方等については、その職員の持つ情報量・応用力等の違いによって、事業内容に差異が生じる可能性が大きく、職員の資質に左右されてしまう場合がある。

中央会職員として資質を高め、各種施策の対応を図ると共に、組合並びに組合員企業における各種施策の有効性を説き、活用を促進させていきたい。

(伊藤)