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シリーズ「くみあい百景」

仲間が集う、「地域の茶の間」。安心の介護サービスを実現

企業組合よりみち

住所:〒437-1621 御前崎市御前崎2947-7
理事長:黒川喜美子
組合員:7人
設立:平成15年6月
TEL:0548-63-5359
FAX:0548-63-5359

 

高齢者の自立を支える介護制度

「地域の茶の間」となる、組合のデイサービスセンター1号店。

内閣府の「高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者人口は、10年後の平成30年には、現在より1千万人増え、3千5百万人に達すると見込まれている。

また、高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)は、さらに上昇を続け、平成67年には、40%に達し、国民の2.5人に1人が、65歳以上となる、高齢化社会が到来すると推計されている。

こうした高齢化社会の進展にともない、寝たきりや痴呆の高齢者の、急速な増加も見込まれ、さらに、核家族化の進行なども加わり、介護問題は、老後生活最大の不安定要素となっている。

こうしたことから、老後を住み慣れた地域で、自分らしく生活できるようにと、高齢者介護を社会全体で支える仕組みである、「介護保険制度」が、平成12年4月に導入された。

この制度は、市町村により、要介護・要支援の認定を受けた高齢者等が、訪問介護・通所介護・介護施設などの、介護サービスを受けることができる仕組みである。


デイサービス事業を企業組合で

静岡県の最南端に位置する御前崎市。平成16年4月、旧御前崎町と旧浜岡町が合併して誕生した。牧之原台地から続く丘陵地帯、遠州灘海岸の砂丘地帯など、豊かな自然環境に恵まれている。

当組合は、旧御前崎町に在住する主婦などが、介護保険制度における通所介護(デイサービス)事業を行うため、平成15年6月、企業組合として設立された。

「介護が必要になっても、住み慣れたまちで安心した生活を送るためには、顔の見える地域住民で支えることが一番。町の行ったホームヘルパー講座を受講した仲間が、意を決し、法人化に踏み切った」。黒川理事長は、設立の理由を語る。

「企業組合」とは、簡単に言うと、4人以上の人が集まり、「資本」と「労働」を組合に集中させ、事業活動を行う組合組織である。他の組合と異なり、事業者でない主婦や勤労者なども、組合員として加入することができる。

「介護サービス事業を行う組織は、社会福祉法人・NPO法人・株式会社などが多い。組合理念である相互扶助の精神が介護事業にも必要」と理事長は、助け合いの心を強調する。

組合は、市内の空き店舗を借り受け、デイサービスセンターを開設。要介護者・要支援者は、入浴・食事・排泄など、日常生活のサポートや機能訓練を、日帰りで受けることができる。

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誠心誠意の介助

工夫を凝らしたレクレーションで楽しむ午後のひと時。

「よりみち」の一日は、要介護者の送迎から始まる。

営業時間は、午前9時から午後4時まで、土日祝祭日も営業している。なんと、休みはお盆と年末年始のみである。

午前中は、運動器の機能訓練・口腔ケア・入浴などが中心で、昼食をはさみ、午後からは、レクレーションを楽しむことで、精神面のリフレッシュを図っている。

スタッフは、組合員のほかパートが8人。全員の15人で、ローテーションを組み運営している。

「要介護者が、自宅と同様な環境で、気兼ねなく過ごせるように、介助することを心がけている。レクレーションも飽きないように工夫を凝らし、食事も地元の新鮮な食材を使用し、それぞれの体調に合わせた献立を、毎日、手づくりしている」と理事長は、誠心誠意の介助とその努力を語る。


自助努力で積極的な事業展開

「相互扶助の精神で介護サービスを」と黒川理事長(左)、
澤入さん(右)。

こうした組合の努力と親身な介助が評価され、平成17年には、早くも2号店を開設。翌18年には、介護保険制度の改正に合わせ、筋力向上トレーニングや栄養改善指導などを行う、介護予防サービス事業も開始する。

「ここまで、施設の運営は、公的な助成に頼ることなくやってきた。資金的に厳しい面も多いが、スタッフのチームワークで、何とか乗り切っている」と理事長は語る。

現在、2つの施設の受入定員は、一日10人以内である。組合では、さらに多くの地域高齢者の負託に応えるため、受入定員の拡大を検討している。

「定員を増やすには、施設整備など、県の基準を満たすことが必要。また、若い人にも関心をもってもらい、地域を支える貴重なスタッフとして協力してもらいたい」。理事長は、地域高齢者の老後の切実な願いを実現するため、絶え間なく努力を続けている。