静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2008 June No.655 仲間が集う、「地域の茶の間」。安心の介護サービスを実現企業組合よりみち
高齢者の自立を支える介護制度内閣府の「高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者人口は、10年後の平成30年には、現在より1千万人増え、3千5百万人に達すると見込まれている。 また、高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)は、さらに上昇を続け、平成67年には、40%に達し、国民の2.5人に1人が、65歳以上となる、高齢化社会が到来すると推計されている。 こうした高齢化社会の進展にともない、寝たきりや痴呆の高齢者の、急速な増加も見込まれ、さらに、核家族化の進行なども加わり、介護問題は、老後生活最大の不安定要素となっている。 こうしたことから、老後を住み慣れた地域で、自分らしく生活できるようにと、高齢者介護を社会全体で支える仕組みである、「介護保険制度」が、平成12年4月に導入された。 この制度は、市町村により、要介護・要支援の認定を受けた高齢者等が、訪問介護・通所介護・介護施設などの、介護サービスを受けることができる仕組みである。 デイサービス事業を企業組合で静岡県の最南端に位置する御前崎市。平成16年4月、旧御前崎町と旧浜岡町が合併して誕生した。牧之原台地から続く丘陵地帯、遠州灘海岸の砂丘地帯など、豊かな自然環境に恵まれている。 当組合は、旧御前崎町に在住する主婦などが、介護保険制度における通所介護(デイサービス)事業を行うため、平成15年6月、企業組合として設立された。 「介護が必要になっても、住み慣れたまちで安心した生活を送るためには、顔の見える地域住民で支えることが一番。町の行ったホームヘルパー講座を受講した仲間が、意を決し、法人化に踏み切った」。黒川理事長は、設立の理由を語る。 「企業組合」とは、簡単に言うと、4人以上の人が集まり、「資本」と「労働」を組合に集中させ、事業活動を行う組合組織である。他の組合と異なり、事業者でない主婦や勤労者なども、組合員として加入することができる。 「介護サービス事業を行う組織は、社会福祉法人・NPO法人・株式会社などが多い。組合理念である相互扶助の精神が介護事業にも必要」と理事長は、助け合いの心を強調する。 組合は、市内の空き店舗を借り受け、デイサービスセンターを開設。要介護者・要支援者は、入浴・食事・排泄など、日常生活のサポートや機能訓練を、日帰りで受けることができる。 誠心誠意の介助「よりみち」の一日は、要介護者の送迎から始まる。 営業時間は、午前9時から午後4時まで、土日祝祭日も営業している。なんと、休みはお盆と年末年始のみである。 午前中は、運動器の機能訓練・口腔ケア・入浴などが中心で、昼食をはさみ、午後からは、レクレーションを楽しむことで、精神面のリフレッシュを図っている。 スタッフは、組合員のほかパートが8人。全員の15人で、ローテーションを組み運営している。 「要介護者が、自宅と同様な環境で、気兼ねなく過ごせるように、介助することを心がけている。レクレーションも飽きないように工夫を凝らし、食事も地元の新鮮な食材を使用し、それぞれの体調に合わせた献立を、毎日、手づくりしている」と理事長は、誠心誠意の介助とその努力を語る。 自助努力で積極的な事業展開こうした組合の努力と親身な介助が評価され、平成17年には、早くも2号店を開設。翌18年には、介護保険制度の改正に合わせ、筋力向上トレーニングや栄養改善指導などを行う、介護予防サービス事業も開始する。 「ここまで、施設の運営は、公的な助成に頼ることなくやってきた。資金的に厳しい面も多いが、スタッフのチームワークで、何とか乗り切っている」と理事長は語る。 現在、2つの施設の受入定員は、一日10人以内である。組合では、さらに多くの地域高齢者の負託に応えるため、受入定員の拡大を検討している。 「定員を増やすには、施設整備など、県の基準を満たすことが必要。また、若い人にも関心をもってもらい、地域を支える貴重なスタッフとして協力してもらいたい」。理事長は、地域高齢者の老後の切実な願いを実現するため、絶え間なく努力を続けている。
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