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シリーズ「くみあい百景」

市民に完全定着 大好評の共通商品券発行事業

御殿場市商業振興協同組合

住所:〒412-0042 御殿場市萩原515番地
理事長:山﨑博史
組合員:245人
設立:平成3年4月
TEL:0550-83-8822
FAX:0550-84-0605

 

地域一体となり発行に取り組む

西に富士山、東に箱根の山々を望む御殿場市は、古くから避暑地として、近年は平成12年に開設した日本最大級のアウトレット施設のあるまちとして、年間1200万人もの観光交流客を迎える人口約8万7千人の高原都市だ。
同市の消費動向は、衣料品や身の回り品、文化品などの買回り品は、近隣の沼津や三島に流出する傾向が強く、また、東京都心から100キロという立地もあり、若者を中心に首都圏へ買いものに出かける住民も多い。
こうした市内における消費離れに歯止めをかけ、消費者を御殿場に引き戻そうと始めたのが、御殿場市商業振興協同組合による共通商品券の発行だ。平成2年、同組合の設立に向け音頭をとったのが、御殿場市商工会商業部長だった山﨑博史理事長である。
「それまで、商店街による商品券の発行はあった。しかし、御殿場市全域で、しかも小売店だけではなく飲食店やサービス業を含むほとんどの業種で使うことができる共通商品券の発行は、初めて試み。できるだけ多くの組合員を募るため、商工会全支部の会合に出席し、その効果を説きました」と振り返る。
山﨑理事長の精力的な勧誘が実り、平成3年4月、330店舗の同意を得て当組合は設立した。
組合員には市内のほぼすべての大型スーパー、ホームセンター、ドラッグストアなども名を連ねた。
「大型店も巻き込まなければ、商品券発行事業は成功しない、消費者にとって魅力の少ない商品券では意味がない、とわれわれは考えました。そこで、市内に出店する大型店全てに足を運んだ。自ら商品券を発行する店舗もあったのですが、趣旨に賛同し、快く加入してくれました」。この判断が設立15年間で11億円を超える発行累計額につながる。
御殿場市のバックアップも大きかった。
「商品券の印刷やステッカー、ポスターの作成、新聞広告や折り込みチラシの費用などに充てるため、設立から3年間にわたり、市から300万円の補助を頂きました。設立当初は資金難でしたから、この補助は大きかった」と全面的な支援に感謝する。

市制50周年を記念した商品券(上)と“New!!わかふじ国体”のロゴマークを用いた商品券(下)

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地域性を強調したデザインも好評

券種は1000円券と500円券の2種。現行のデザインは5代目にあたる。平成15年に開催された静岡国体(New!!わかふじ国体)で御殿場市が馬術競技の会場となったことにちなみ、イメージキャラクターを使用した商品券を発行。平成17年には、御殿場市が市制施行50周年を迎えたことを記念し、記念ロゴ入り商品券の発行も手がけた。
「当初は500円券だけでしたが、消費者のご要望に応え、平成4年7月から1000円券も発行しました。市民に親しんで頂けるよう市の鳥である”くろつぐみ“や市の木”けやき“もデザインにとり入れ、市民の商品券であることを強調しました。また、利便性を考え、使用期限はありませんし、おつりも出ます」と設立以来、事務局として商品券の管理をはじめ、組合事務を一手に担う商工会の荒木美和子主幹は、地域性を強調する工夫を怠らない。快気祝いなど贈答用のほか、役所や企業、団体も積極的に地域や企業のイベントの景品として活用するなど、いまや市民の消費活動に欠かすことができないアイテムに育った。

商品券取扱店を表すステッカー。

 

完全定着 年間回収率100%超える

組合設立から15年。累計発行額に対する回収率は、91%と驚異的な実績をあげた。平成17年度の回収率は実に103%。つまり、年間の発行数を上回る商品券が使用され、消費に活かされていることになる。
「組合の商品券は、市民に完全に定着しました。協同組合が発行する商品券ということで市民の信用は大きい。それが回収率91%という数字に表れていると思います。しかし、いまだに1年間の発行額に相当する1円分を超える商品券がどこかに眠っています。これをいかに掘り起こし、消費に向けることができるかが、これからの課題」と理事長は、次なる一手に目を向ける。
「そのためには、商品券を利用して買い物をするお客様に対し、割引や特典を付加するなど新たなサービスの提供や新規組合員の加入促進、販売所の拡大などに取り組む必要があります。また、組合独自のイベントの企画や商店街の売り出しへの活用などを通じた、商品券のさらなる利用促進も欠かせません。これらの試みは、組合員だけではなく、地域全体の活性化に間違いなくつながるのです」。

強力なリーダーシップで組合員を束ねる山博史理事長 組合事務を担う荒木美和子さん