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寄稿

平成18年度税制改正と中小企業等への影響

個人所得税関係

2.税率構造

平成19年分以後の所得税については、次表の様に税率構造が所得税では4段階から6段階にかわり、住民税の税率構造もあわせて改正されています。

●所得税の税率構造

所得税の税率構造

(注)平成19年分以後の適用となる。なお、平成18年度においては、
暫定的措置として、所得譲与税により3兆94億円の税源移譲を行う。

●住民税の税率構造

住民税の税率構造

3.寄付金控除

個人である納税者が国等に対して特定寄付金を支出した場合には、従来1万円を控除した残額が寄付金控除の対象とされていましたが、この控除額が5千円に引き下げられました。

4.地震保険料控除

地震災害に備えて新たに一定条件のもとに個人所得税申告時等に地震保険料控除が5万円までできることとなりました。居住用財産、生活用動産に対する保険の目的で地震保険契約に係る保険料または掛け金であることが要件ですが、従前の長期保険料控除とあわせて5万円までです。1万5千円控除があった人には、新たに余裕枠は3万5千円増加したこととなります。

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その他

1.住宅取得資金に係る贈与税の特例措置

住宅取得資金の贈与を受けた場合の計算の特例は、昨年末日の期限で廃止されましたが、相続時精算課税制度における住宅取得資金の贈与については、2年間適用期限が延長されました。この制度は自己の居住用財産の取得又は一定の増改築等を行う場合、65歳未満の親からの贈与であっても適用できる制度であり、また特別控除額も3500万円と、通常の2500万円に比し1000万円上乗せされています。

2.相続税の物納制度

手続の明確化、迅速化等を促進するため所要の整備が行われています。

3.公示制度の廃止

個人情報保護法の観点から公示制度が廃止されることとなりました。

4.登録免許税、不動産取得税の軽減税率

不動産に係る登録免許税については廃止されましたが、売買による所有権移転登記の免許税等の1%等については、期限が延長されてます。また不動産取得税の標準税率の特例も3年間延長されています。

5.更正の請求の特例

国税庁長官の法令解釈等の変更があった場合には、その取扱を受けることとなったことを知った日から2月以内に更正の請求をすることができるようになりました。

6.法人税の確定申告書の添付書類として事業概況書が追加

7.郵送等による書類の提出については、郵便物等の通信日付印により表示された日に提出があったものとされる

8.無申告加算税の現行15%の割合が、納付税額で50万円を超える部分に対する割合が20%に


今後の展望と課題

景気が上向いてきたとの観測から昨年に引き続き個人や中小企業にとっては厳しい税制改革の内容となっています。少子高齢化社会を見据えた財政収支健全化を意図した政策路線は、次年度以降も引き続き継続していくものと思われます。

間接税の柱である消費税の引き上げも検討課題となっております。

大企業と比較し、中小企業や個人における税制は生活や経営を直撃しかねない重要な要素をはらんでおり、国民の義務としての税負担をはたしながら、私たちの生活や、企業組合活動をより円滑に活発に行っていく上で、税制の研究は一層重要さを増してきているといえます。