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特 集

 超人気「朝霧ヨーグル豚」マスコミより地元PR優先 
 朝霧ヨーグル豚販売(協)


  ▲試食パーティーでは、
   味・安心・栄養に主婦も納得顔。
 十一月十一日、沼津市のブケ東海で社団法人静岡県ニュービジネス協議会による第十四回県ニュービジネス大賞授与式が華やかに開催された。
 今回、みごと大賞を射止めた三団体の一つが朝霧ヨーグル豚販売協同組合である。
 組合は、食肉卸売業五社によって平成十五年二月に設立。受賞の対象となった『朝霧ヨーグル豚』の売上は今期、早くも一億円に達した。その勢い、話題性は止まることを知らない。
 たとえば、これまで取り上げられたテレビ番組は、SBS「静岡発!そこ知り…」、TBS「はなまるマーケット」、テレビ静岡「テレしず通りパロパロ」、同「くさデカ」、静岡第一「静岡○ごとワイド」など一○件を越えるほどの人気。しかし、需要が追いつかないことなどを理由に現在は、全国網のテレビや雑誌の取材受付を一時中断している。
 はたして、組合のブランド戦略とは、そして今後の展望は?
 まず、『ヨーグル豚』とは何か、について触れておく。飼育される豚自体は特殊な種類ではなく普通の豚だ。しかし、その特徴は餌にある。一般的に豚の餌にはとうもろこしや麦を乾燥・配合した輸入飼料が使われることが多い。
 対して、ヨーグル豚の餌はドロドロとしたもので、牛乳やパンなど、食品を加工する際に出る副産物を数十種類選定。これをブレンドし、液状に醗酵させたものだ。
 この液状飼料の利点は思いのほか多い。たとえば、消化効率が良くなり糞尿のにおいは低減され発育も早い。また、疾病が少ないために抗生物質を使う必要もない。さらに、遺伝子組み換えの心配もなく、不飽和脂肪酸を多く含むため血中のコレステロール値を下げる働きもあるなど、安全・安心が保証されたうえに健康面にも配慮された新しい食肉といえる。
 おいしさも、折り紙つきだ。やわらかく甘みがあり、豚特有の臭みがないなど、消費者は最大限の評価をつける。プロの料理人も高く評価し、地元の一流料理店の中には、有名産地の豚から切り替えるところも出るほどだ。
 さて、本題のブランド戦略だが、組合設立以来、地元催事などへの出店による地道な認知度アップが中心だ。例えば、十一月に富士宮市で開催した試食パーティ。組合の広報担当者は、集まった三○人の地元主婦らに交じって、時には軽口を飛ばしながらヨーグル豚のしゃぶしゃぶや焼肉手巻き、塩釜、豚汁など五品目を試食。参加者の満面の笑顔を確認しながら、おいしさや安全・健康面について説明を加え、これを聞く主婦らは納得顔を浮かべる。



▲H17年5月に
 「朝霧ヨーグル豚」
 の商標登録。


▲朝霧ヨーグル豚販売(協)
 の松野育士理事長

「まずは、地元で愛されることが一番大切。今日の三○人が五○人、百人のお客さんを連れてきてくれる」と松野育士理事長は消費者の反応からも全国展開への手ごたえを感じている。
「今は需要に生産が追いつかない状態。そこで、来年には養豚場の規模を拡充し、東京のデパートなど一流店にも卸していく。
 食肉取扱店および飲食店などが適正利益を上げ、環境に配慮した持続的成長をとげるLOHASへの思いが商標にこめられています」。



中小企業静岡(2005年12月号No.625)