多士済済 
 特 集 
 ネットワーク 
 視 点 
 編集室便り 



くみあい百景




▲伝統の注染技術と
 高いデザイン力を
 持った浜松ゆかた

『ゆかた柄デザイン画コンクール』で
入賞作品を初めて商品化


 ゆかたまつりでは、新作ゆかたの発表会・競技会、注染実技の指導体験、高校生を対象とした『ゆかた柄デザイン画コンクール』など盛りだくさんのイベントが実施される。特にコンクールに入賞したデザイン画五十点のうち十一点を商品化し、県内の大手スーパーや百貨店、専門店などへ今年四月から本格的に販売を始めた。「入賞作品は、どれも素晴らしいものばかり。中でも市場にインパクトを与えるデザイン画を厳正に選び商品化した」と白井理事長は、売れ行きを期待する。ただ商品化にあたっては「著作権の問題等もあり、なかなか踏ん切りがつかなかった」(同)と振り返る。昨年九月、入選作をデザインした生徒の所属する各高校まで出向き、教諭や父兄、生徒らに商品化への思いを説明した。「きっぱりと断れるかと思った」(同)が、意外にも父兄からは「大変ありがたい。子供が表彰され商品化されるのは大変名誉なこと。こちらからお願いしたい」と喜ばれた。学校側は、「生徒が表彰される賞の数をもっと増やしてもらいたい。受賞すれば生徒は自信を持って前向きに何でも取り組むはず。来年もたくさんの生徒に挑戦させます」と意欲を示す。著作権も謝礼として図書券を贈ることで、解決した。「顧客の十代、二十代前半が同じ世代である高校生のデザイン画を支持し、購入している。これらの商品化は今後も続けていきたい」(同)期待はふくらむ。

品質表示名称表記制度で商品の品質管理が向上


▲「若い感性と伝統の力で
 浜松ゆかたやリビング品を
 全国展開したい」と
 意気込む白井理事長


▲「『品質表示名称表記』は、
 もはや組合ブランドの証です」
 と力を入れる池田専務理事


 今や組合が最も力を入れる「ゆかたなどに貼る品質表示名称表記制度」を始めたのは、平成十年度のことである。これは全国五大集産地(東京・大阪・京都・名古屋・浜松)の産地組合が発行する制度で、組合加盟事業所が、表示番号(組合名・電話番号・登録番号)を付けて商品を卸すことを許されている。消費者は、商品に対する質問やクレームがあった場合に表示番号をもとに組合に照会することができる。組合で対応できない場合は、消費者と組合員の間に立ち、連絡調整を図るシステムである。組合は、問い合わせ情報を組合員にフィードバックし、組合員は、商品の品質管理の向上に努める。システムが定着しつつあるここ四、五年では、「組合のラベルがなければ商品を購入できない」と顧客から言われ、七社が組合に加入したほどだ。「品質表示制度は組合の求心力を高めるとともに組合員の意識や商品力を確実にレベルアップさせている」と池田専務は胸を張る。
 これからの問題は、各組合員の高齢化と後継者の不足である。この問題に対し、組合では平成十六年度からの三年間で中小企業人材確保推進事業を行い、若年層の人材確保と雇用環境の改善に取り組んでいる。
 理事長は、「高校生の個性的なデザインを郷土工芸品の注染で仕上げることで新しいゆかた需要を生み出す。現在ゆかたブームで若者がゆかたを着る機会が増えている。これを契機に、次の世代に注染そめの素晴らしさを普及させたい。そのためにも注染そめの伝統を今後も守り続け、浜松ゆかたを全国区で拡大し、リビング品も同様に販路拡大したい」と意気込みを語る。



中小企業静岡(2005年7月号No.620)