“新連携”など新法の積極活用で
中小企業の経営強化を
六月二三日、ニューヨーク原油相場は初の一六○ドル台に突入し、史上最高値を更新した。原油高が長引けば、国民生活や企業業績などへの悪影響も懸念されるため、今後、産業界は原油価格の行方を注意深く見守っていく必要がある。
こうした事態に直面し改めて思うのは、経営者たるもの、自社を取り巻く事業環境の変化に即応し、経営強化に向けた弛みない努力を続けていかなければならないという点だ。
その意味では、ここ数年で大きな動きを見せている中小企業施策も、注目すべき重要案件の一つにあげられる。これを一言でいえば、従来の近代化資金に見られる誘導施策方式から、企業自らが改善・企画提案をし行政の承認・支援を得ることで経営力強化の実現をめざす、ボトムアップ方式への政策転換である。
中でも、今春成立した「中小企業新事業活動促進法」は、従来の経営革新、創業支援を継続するとともに、複数の中小企業が大学、研究機関など多様な組織と協力して進める“新連携”を新たな支援対象としたところに、その特徴がある。
近年、経済のグローバル化の進展に伴い、取引先企業の海外移転や大企業自らの系列見直し、あるいは、技術・新素材の開発が一夜にして産業そのものを旧廃化する事例さえ見られる。いまや大企業でさえ、単独の経営資源では激化する国際競争や吹き荒れる業界再編を乗り切ることは困難な時代となった。ましてや、経営資源に制約のある中小企業にあってはなおさらのことだ。ここに、新連携への支援が求められる背景がある。
幸いに本会の会員組合は、組合員相互のネットワークや共同事業などを通じて、新事業創出の苗床機能を築き上げてきた。今後、こうした有形・無形の資源を積極活用することで、それぞれの組合から一つでも多くの企業グループが新法の適用に名乗りをあげることを期待したい。本会としても、施策の伝道師たる気概をもって、ヤル気ある組合に最大限の支援をしていく所存である。
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