富士の叫び 
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わたしの健康法

 景気とは反対に日本人の平均寿命は今年も伸び続け、依然世界一の長寿国であるのは喜ばしい限りである。
 おかげで私も来年は米寿をむかえるというのに、相変わらず宴会を断りきれない機会も多いので、健康には気を配っている。
 ところで八月十二日から十回にわたって静岡新聞の要請で「わが道」なる表題で、自分の人生経験を書いた。それを読んだ人から八六才になって、なお元気で活躍できるのは、なにか秘訣があるのではないか。経営者に必要な健康法を教えてほしい、との問合せを多数いただいた。
 言われてみれば、経営者が健康でなければ企業経営もうまくいかないことになる。そこで私が格別の健康法をしているわけではないが、少しでも参考になることがあれば、との思いで自分なりの“井上流”健康実践法を紹介してみたい。
 第一は真向法の励行である。真向法は「からだの中に医者がいる」との思想のもとに、「自らによる自然治癒力を高める」健康体操の一種である。朝と夜に三十分ずつ一日も欠かさず四十年以上実行している。この効果は大きく“継続は力なり”が実証されているように思う。
 二番目は薬の効用である。私は常に十数種類の薬を入れた薬袋を携行している。薬漬けのようにみえるかも知れないが、決してそうではない。中味は心臓薬から胃腸薬はもちろん、目薬からのど飴まで、どんな状況にも即応できるよう常備している。薬害を心配する人もいるが、要は自分の身体のことをよく知り、必要に応じ自分自身の経験と判断で服用することが肝要である。
 第三は懇意な町医者のお世話になっていること。もちろん病気によっては総合病院も必要だが、自分の身体の隅々まで知っているお医者さんが身近にいてくれることが大切だ。
 健康こそ、不況克服の基である。

静岡県中小企業団体中央会・会長 


中小企業静岡(2003年 9月号 No.598)