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▲眼差しも優しい渡井理事長

暖かく見守る目が大切

 組合員が緑を管理する「こどもの国」には、親や社会に対し五つのユニークな宣言がある。服を汚しても怒らない!  何々をしなさいといわない! 早くしなさいといわない!  危ないからダメといわない! こどもの話をよく聞くこと!
 ここは、子供が自由に伸び伸びと豊かな遊びを展開するための大きな冒険広場。ルールは一つ、「自分の責任で自由に遊ぶ」。
 しかし、子供の遊びに、ケガはつきもの。ケガをすることも「生きる」練習の一つ。危ないから止めさせるのではなく、大人は、見守る姿勢を持たなければならない。緑の管理も大人の目線で、これが組合の姿勢。
 「はじめ、遊園地で遊び慣れている子供は、遊具がほとんど無い施設に不満顔。しかし、時が経つにつれ、自分で考え遊ぶようになる。これが大切」と優しい眼差しで渡井理事長が話す。
 現在の緑化管理事業の主な内容は、枯損木の処分や施肥、芝やススキ刈りなど。大きな木を新しい土地にいきなり植えてもうまく育たない。小さなものから丁寧に育てていかなければならない。一般的に植えた木が一人前になるには、植えて十年以上かかる。樹木の本格的な管理は、これからの仕事。
 去年までは、管理を地区割りにして、組合員に割り振り、作業を進めてきた。しかし、組合員の作業時期にバラツキがあり、統一的な動きが出来なかった。この反省から、今年は作業管理を組合で行い、全組合員が一斉に作業を行っている。





▲10年経てば若木も一人前に

組合運営の秘訣は動機付け

 施設の運営には、多くのボランティアが積極的に参加している。組合員もボランティアの一員として、月一回の炭焼き教室を開催している。炭を見たことも、触ったことも無い子供達に新たな世界を体験させている。子供達に大きな夢を与える「こどもの国」は地域の造園業者にも大きなメリットをもたらした。
 「夢一杯の自然を子供に与えるといった大きな目的があれば、組合の運営はし易い。組合設立当初の意気込みをどこまで持ち続けることが出来るか。また、どこまで持たせることが出来るか。それが課題」。組合の運営には大きな目標や、設立時の意気込みを持ち続けることが大切と、組合運営の秘訣を理事長が語る。



富士を活かした新たな展望

 「こどもの国」は、標高が高く植物の育ちは良くない。しかし、厳しい条件を逆手に取り、様々なことが考えられる。例えば、公園に多くの山桜などを植えれば、平地と比べ時期がずれ、山桜の名所とすることが出来る。組合員全員が、富士山という偉大な財産を生かした新たな展開に大きな期待をかけている。


中小企業静岡(2001年 8月号 No.573)