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イチロー型中小企業に期待!

 アメリカでのイチロー選手の活躍ぶりは、今年つまり二一世紀元年の日本にとって、最大のニュースになるであろう。
 いま我々日本は、政治に、経済に、そして社会万般において、なんとも言い難い閉塞感のなかで呻吟しているだけに、とくに彼の存在が強烈である。
 ここに彼の活躍の記録を紹介するまでもなく、打つことにおいて、守ることにおいて、さらに走ることによって、世界中の国々から選りすぐられたメジャー集団のなかでも、新鮮で光り輝いているのが嬉しい。
 我々中小企業の経営者は、イチローに驚いたり、感心しているのもいいが、彼のプレーや行動を通じて、経営者に数多くの示唆をあたえていると考えるべき、と私は思う。巨人軍の松井選手が大企業と仮定すれば、イチローはまさしく逞しき中小企業タイプといっていい。
 彼の神髄は“個性”である。本人が「自分だけにしかできないイチローのプレー」を追い求め、たとえばなんの変哲もない返球の仕方にしても個性あふれる姿形を追求している。
 それは一朝一夕にしてできることではなく、天賦の才能に加えて、彼の精神的な逞しさ、不断の向上心と鍛錬の成果である。
 私の瞼には、オールスターの第一打者として、初安打の一塁ベースを駆け抜けるあの姿が今も消えない。武者小路実篤先生は”仲良きことは美しきかな“と言われたが、あの洗練された走塁は
“強きことは美しい”ことを証明した。
 さて、ひるがえって、厳しい経済環境下とはいえ、日本のなかにもイチローに負けない努力で、立派な収益をあげている中小企業も、決して少ないわけではない。
 あのひたむきさ、自己への厳しさを取り入れた、名付けて逞しい“イチロー型中小企業”が輩出されることを期待してやまない。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2001年 8月号 No.573)