ネットサーフィング
富士の叫び
フラッシュ
特集
REPORT
ネットワーク
中小企業組合静岡県大会
くみあい百景
中小企業組合検定試験
読者プラザ
編集室だより



特集 SPECIAL EDITION

組合における官公需のシステムと現状




▲「グランシップ」の清掃業務も現在、組合が受託している。



 近年、共同受注を主事業とする組合の設立が増えている。
中でも目立つのが県や市をはじめとする公共機関との取引(官公需)を目指したもの。
取引の成否は中小企業と組合にとって、受注拡大に向けて大きな意義を持つ。
と同時に中小企業へ発注促進は国の施策としても積極的に展開されている。
 今回は、七月十八日に閣議決定された
「平成十二年度中小企業者に関する国等の契約方針」を踏まえながら、
基本事項を中心にふれてみたい。



新設組合の主役は共同受注、そして…

 本誌五月号の特集「組合設立白書」でも掲載したように、組合事業の内容も、時代の変遷とともに様変わりしている。共同事業の主流は徐々に移行し、この十年間は異業種による研究開発組合、建設業関連業種を中心とした共同受注事業などが進展。なかでも共同受注事業については、徐々に業種の広がりをみせ主流の一つとなった。最近は異業種でそれぞれの得意の技術を持ち寄り、より高度な、細かな要求に応えながら市場を開拓していく形態もすっかり定着した感がある。過去十年間にさかのぼったデータをみても全体の三割を超える組合が、共同受注を目指して設立されている。
 十一年度では設立三一組合中、半数の十六組合が共同受注を主要事業に掲げている。さらに、その中で際立った点は、公の機関の仕事獲得をめざすものや県・国の大型プロジェクトを視野に入れ、事業を展開している組合が多いことであった。
 たとえば、清水建具(協)と浜北建具(協)は、任意組織としての活動もそれぞれ三〇年余と長いが、法人化の直接のきっかけのひとつは、平成十年度に県の建具工事が分離発注化されたこと。それまで、現実的には大手建設会社の下請の形でしか工事に携わることができなかったものが、直接に契約主体として参入できるようになった。
 畳については以前に分離発注化が進められ、昭和五四年当時、十組合ほどが続けて誕生した。建具についても、まだ、いくつかの地域の任意組織が法人化を検討している。
 そのほか「しずおか国際園芸博覧会」や「富士山こどもの国」、第二東名の緑地などに係る造園関連業務、官公庁舎の営繕、道路標識設置工事などを視野に入れながら、それぞれの組合が受注体制を整えている。
 その背景には、経済が長期低迷するなかで、脱下請けを含め自ら新たな市場を求める中小企業者の姿勢が窺える。
 と同時に、実は国等も施策の一環として、行政機関等が発注するものについて、中小企業者にできるだけ多くの機会を与えるよう配慮している。


中小企業静岡(2000年 9月号 No.562)