静岡県における地域最低賃金は、昨年対比〇.八%アップ(一日四三円増)で日額は、五、三二九円(時給六六七円)に決まった。
今年も最低賃金審議会は、公(弁護士・大学教授など)労(労働者代表)使(使用者代表)による喧喧諤諤の議論の末に決められた。たとえ〇.八%のアップであっても、現実の中小企業においては「今年度賃上げを実施しない事業所が四五%もある」という厳しいデータもあり、使用者側は引き下げ、もしくは凍結を強く主張した。
しかし、全国的な趨勢を全く無視してまで抗し難く、残念ながら中央の審議会で示された〇.八%を呑まざるをえなかったのが実情である。
ところで今年は、本県にとってありがたくない指標が出た。
昨年まで全国九位であった総合指数が、実は十三位まで転落したことである。
具体的には、ここ五年間(平成七〜十一年)で滋賀、長野、広島そして栃木にまで、先を越されたことが数字の上で明らかになってしまった。根拠となる指数は、全部で二〇項目である。
たとえば、一人当たりの県民所得など「所得や消費に関するもの・五指標」をはじめ「給与に関するもの・十指標」と「企業経営に関するもの・五指標」の、計二〇にものぼる項目の直近五年間の数値を総合指数化したものである。
さて問題は、私ども経済人は、この指標をどう受け止めるべきか。
オリンピック景気のあった長野は別としても、静岡県勢全体が、類似県に追い越されつつある事実は、その原因はどこにあるのか、解明が急がれるところだ。
ここで論ずる紙幅はないが、当面、なにはともあれ、行政であれ、民間であれ、それぞれが自己の関与する分野のなかで改善、向上の努力を続けること以外にないのではないか。
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