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▽8月。汗ばむ季節。表紙では、親子連れや恋人同士が湖面にボートを浮かべ、日傘を手にのんびりと涼をとっています。昭和33年頃のかんざんじのヒトコマです。背景にある当時の旅館の造りが趣きを感じさせます。
現在はクーラーなどの人工的な涼が主流で、涼むにも情緒が入る余地がなくなっているような気がします。乾いた地面に大粒の雨が降り始めると独特のにおいが舞い上がってくる、涼を運んでくれたあの“夕立のにおい”もコンクリートとアスファルトの中の生活では経験することがなくなりました。
▽ところで、歴史あるかんざんじも温泉が出たのは昭和33年と意外に新しく、それ以前は、一時は好況を謳歌していた村櫛の織物業やうなぎの養殖業者など、地元の人々に支えられてきた面が大きいようです。
以後、昭和39年の東海道新幹線、44年の東名高速道路の開通と旅行ブームを迎えたこともあり、急成長を続けてきました。数年前にはNHKの連続ドラマ「湯の町行進曲」の舞台にもなったものと記憶しています。
私もかんざんじ温泉事業協同組合の総会に何度か出席させていただいたことがありますが、経営者の方々も大幅に若返り、ブームが一段落した今、新しい観光地としての魅力を求めた挑戦が続けられています。 ［敏］
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中小企業静岡８月号（通巻５６１号）
発行人 井上光一
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