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▲大豆の栄養分をすべて
 含んだ丸ごと大豆粉末

伝統の味を生かして新戦略


 豆腐の味や風味を決めるのは、お店独自のにがりや水分含有量。“丸ごと大豆粉末”を使用しても、伝統の味や風味はそのまま再現が可能。
 さらに、粉末大豆と水を攪拌する際に、専門の釜へ黒豆などの異なる食品粉末を入れれば、黒豆入り豆腐など新商品の出来上がり。
 豆腐は地域に根付いた地域性が強い食品、お店の独自性を生かした様々な付加価値豆腐の開発が可能になる。
 組合では、全国のお豆腐屋さんに「おからのでない付加価値豆腐の製造開発」を提案している。“丸ごと大
豆粉末” は、おから成分まで丸ごと粉砕した革新的な豆腐原料。
 「豆腐屋は天気に左右されやすい商売。豆腐の製造工程は、大豆の選別に始まり、洗浄から店頭に並ぶまで約十二時間。翌日から売り出す商品は、前日の夜半から起き出して仕込みを始めなければなりません。これでは、急な天気の変化や商品の売れ行きに合せた製品のコントロールが難しい」
 「粉末大豆を利用すれば、製造開始から完了まで、たった一時間。売れ行きに合せた品揃えができ、売りそびれや作りすぎが避けられる」と労務管理や販売戦略まで変える画期的な原料と古橋理事長。



▲粉末大豆で作る「ひめ肌」
を販売する組合員店舗

別会社で事業化に着手

 斬新な事業を行う組合の生い立ちもまたユニーク。経営者が事業の効率化を求めて、組織することが多い組合。しかし、当組合は、現在組合の事業企画室長の山崎氏が仕掛けたもの、おいしい豆腐を探しているうちに、豆腐の製造工程に着目した。山崎氏は、これまでの仕事で培った経験と幅広い人脈をフルに活用し、必要なノウハウを持つ企業にアプローチ。説得を繰り返し、それぞれの組合員の役割を明確に示して組合を立ち上げた。名称のアントレは、フランス語で「入口」を意味する。
 現在、粉末大豆の製造法、大豆粉砕装置について特許を出願中であり、大手の食品メーカーからの引き合いも多い。「色々な会社の方とお会いして、話をしますが、どの会社も “こだわり商品”の内製化を求める姿勢が強く、粉末大豆の取引よりも、特許出願中の粉砕プラントへの関心が高い」と山崎氏。
 粉末大豆を原料とした商品を、組合員である豆腐メーカーがオリジナル商品「ひめ肌」として、浜松市内の百貨店で販売したところ好評で、本年四月、事業化に向けて会社を設立した。さらに、商社と販売契約を結んで全国展開をも開始している。
 豆腐店に粉末大豆を販売するだけでなく、これから豆腐店の開業を目指す人を対象にフランチャイズ契約で製造ノウハウや機器を提供、開店まで指導する新たなビジネスにも積極的に取り組んでいる。


中小企業静岡(2000年 8月号 No.561)