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組合から会社への
組織変更規定について




 前月号でもご案内した「中小企業団体の組織に関する法律」
の一部改正がこの3月2日より施行される。
 その柱となるのは、『事業協同組合、企業組合、
協業組合から株式会社、有限会社への組織変更規定の創設』。
これにより組合に蓄積された事業実績・資源・資産をそのまま活用し、
事業を休止することなく会社へ組織変更できるようになる。
しかし、同時に慎重な対処を求められる点も多い。
 今回は、その手続の概要と組織変更規定について触れてみたい。



 「中小企業組合から会社への組織変更規定」については、中小企業庁の資料を参考に、十六〜十七ページに掲載をした。
 これらに基づき、組織変更手順の全体的なスケジュールを表すと次頁のようなものとなる。実務上、法律の規定に基づく、より詳細な手順を要するのはいうまでもないが、何よりまず事前に、組合の役員を中心に自分たちの組合の現状について詳しく分析し、中・長期的な計画を作るための検討を始める必要がある。
 主な検討事項として、以下のような点があげられよう。



1.問題点の把握、組織変更の必要性についての検討

 現在、組合を運営している中で、問題となっている点は何かについて、きちんと把握し、意思統一を図ること。
 その上で、会社に組織変更する必要性の有無、メリット・デメリット(中小企業組合関係税制の適用が受けられなくなることなど。)について検討する必要がある。

2.組織変更手続の理解

 会社に組織変更するために満たさなければならない条件、手続きについて十分な理解を得ること。

3.関係機関等との事前の協議・相談

 組織変更の検討の段階で、商工中金(脱退時の持分譲渡等)、中小企業総合事業団(高度化資金の返済等)、県(補助金の扱い等)などと事前に充分な協議・相談が必要な場合がある。

4.組織変更議案の可決の可能性、反対組合員の見込み、持分払戻の方策に関する検討

 組合員の三分の二以上の賛成を得て組織変更の議決を行うことができるかを検討。総会に先立って書面により組織変更に反対の意思表示をした組合員に対しては、現在の組合の定款規定が出資額を限度として持分を払い戻す規定となっていても、その定款の定めにかかわらず、持分全部の払戻しとなる。
 組織変更に反対する組合員が多数存在する場合には、会社への組織変更自体がかなり難しくなることが予想される。

5.株主総会、取締役会の運営方法

 出資金の多寡に拘らず組合員一人につき一票の議決権を有する組合と異なり、(1)会社の株主は一株につき一個の議決権を有することになるので、筆頭株主が会社経営の実権を握ることになる。(2)有限会社の社員総会については、総社員が同意すれば招集手続を省略できる。…など、組合と異なる会社における総会・取締役の運営方法についてもあらかじめ十分な検討を行っておくこと。 
 そのほか検討課題は多い。


中小企業静岡(2000年 3月号 No.556)